抗がん剤について

国内では現在、厚生労働省による承認済みと未承認を含めて100以上の抗がん剤が使用されています。その中には飲み薬(経口薬)もあれば、注射(注射薬)もあります。また、その投与期間や作用機序もさまざまです。
諸外国を含めると、世界各国で作られている抗がん剤の種類は数百にのぼるとされています。

抗がん剤について

当サイトでは、代表的な抗がん剤であるアルキル化剤プラチナ製剤植物アルカロイド代謝拮抗剤ホルモン剤生物学的応答調節剤抗がん抗生物質、分子標的薬(シグナル阻害剤血管新生阻害剤抗体製剤(モノクローナル抗体)プロテアソーム阻害剤など)の特徴、はたらき、代表的な薬、そして副作用を解説しています。

抗がん剤の効果と副作用
がんが早期の段階で発見され、狭い範囲にとどまっていれば、手術によって切除したり、放射線による治療が有効です。しかし、がんが進行するとリンパや血液に乗って、全身に転移していきます。
こうした患者さんに対しては、局所的な治療ではなく、抗がん剤治療のように、全身に効果を発揮する治療法が必要となります。抗がん剤にはがん細胞を殺したり、その増殖を抑えることでがんを抑える働きがあるからです。特にがん細胞が細胞分裂をして増殖している時がもっとも有効です。
急性白血病、悪性リンパ腫、小児がんなどでは、抗がん剤だけでがんが治癒する場合が多く見られます。

しかし、抗がん剤の強い効果を期待して、むやみにたくさんの量の抗がん剤を使うと副作用も非常に強くなります。それは、がん細胞だけでなく正常な細胞にもダメージを与えるためです。
そのため、抗がん剤は「効果」と「副作用」のバランスを考えながら使うことが重要になってきます。

また、抗がん剤を使うことによって、がん細胞をおさえることができたとしても、副作用で苦しむ期間が長ければ、患者さんに苦痛を与え、あまりよいこととは言えません。
そこで、抗がん剤を使うときはQOL(Quality Of Life=生活の質)の改善を考えることが非常に重要になります。

抗がん剤の「効く」とは?
薬局で「この風邪薬はよく効きますよ」と言われれば、私たちは、その風邪薬で風邪が「治る、症状がおさまる」と考えますよね?実際その通りなのですが、抗がん剤の場合は少し違います。
例えば、肺がんの患者さんにゲフィチニブ(商品名:イレッサ)を投与したとします。
肺がんの場合はCTなどの画像診断で、がん細胞が50%以上縮小していれば「効いた」と判断します。縮小が確認された期間が一時的で、その後にがんが大きくなって元の大きさに戻ったとしてもです。

つまり、抗がん剤での「効いた」は完治を意味するのではなく(もちろん完治が望める場合も多々あります)、「患者の寿命が延びる」あるいは「寿命の延長効果は望めないが、がんが小さくなって苦痛が軽減される」という効果を表現していることが多いのです。
しつこいようですが、完治する患者さんもたくさんおられます。あくまでも抗がん剤における「効いた」という表現の意味についての話です。抗がん剤の効果は、次のような基準によって判定します。

1. 完全寛解(CR=コンプリート・レスポンス)
腫瘍がすべて消失し、その状態が4週間以上続いている場合。この状態を長く続けることで治癒に結びつく。

2. 部分寛解(PR=パーシャル・レスポンス)
腫瘍の縮小率が50%以上で、新しい病変の出現が4週間以上ない場合。
完全に治ったわけではないが、薬がよく効いていて、ほとんどの症状は消失している。

3. 不変(SD=ステイブル・ディジィーズ)
腫瘍の大きさがほとんど変わらない場合(正確には、50%以上小さくもならず、25%以上大きくもならない場合)。がんは放置すればどんどん大きくなるので、大きさが変わらないのは、薬の効果があったことを意味している。

4. 進行(PD=プログレッシブ・ディジィーズ)
腫瘍が25%以上大きくなった場合、もしくは別の場所に新たな腫瘍ができた場合。

以上の4段階で判定し、完全寛解、部分寛解、不変だった場合には、その治療の効果があったと考えます。

なお、日本における抗がん剤の認可基準は、上記リストの2.部分寛解(腫瘍の縮小率が50%以上で、新しい病変の出現が4週間以上ない状態)が、20%の患者さんで認められることとされています。

抗がん剤:プロテアソーム阻害剤とは?

プロテアソーム阻害剤の特徴
がん細胞の中の不要なタンパク質の分解を阻害して、死に導く薬です。
がん細胞の分裂や増殖のプロセスにはさまざまなタンパク質が関与しています。これらのタンパク質がその役割を終えたとき、あるいは細胞内に異常なタンパク質が生じたときに「プロテアソーム」と呼ばれる酵素がこれらのタンパク質を分解します。また、がん細胞がつくりだす新しい血管の伸長を促すタンパク質や、細胞増殖を抑えるタンパク質も分解します。

そこで、プロテアソームの作用を邪魔することによって、不要なタンパク質を分解できないようにして、がん細胞分裂の信号伝達を乱し、がん細胞を死滅させようというのがこのプロテアソーム阻害剤なのです。

ボルテゾミブ(商品名:ベルケイド)

代表的な薬
国内では、2006年12月にヤンセンファーマが製造承認を受けた多発性骨髄腫の治療薬「ボルテゾミブ(商品名:ベルケイド)」が唯一のプロテアソーム阻害剤となります。
ボルテゾミブは、細胞内に存在する酵素複合体「プロテアソーム」を阻害することで抗骨髄腫細胞作用を発揮します。プロテアソ−ムは、細胞内で不要となったタンパク質を分解する酵素であり、細胞周期に重要な役割を担っていることが判明しています。

骨髄腫細胞などの腫瘍細胞は、細胞周期に関連したこのプロテアソームにも何らかの異常があり、正常細胞よりもプロテアソーム阻害薬に対する感受性が高いと考えられています。
このようにボルテゾミブは、既存の薬剤と異なった作用機序を有することから、特に再発または難治性の多発性骨髄腫に有効性が期待されています。

プロテアソーム阻害剤の投与法
ボルテゾミブ(商品名:ベルケイド)は静脈内に注射で投与します。多発性骨髄腫の治療では複数の抗がん剤を併用して治療することが珍しくありませんが、ボルテゾミブは単独もしくはステロイド剤との併用で投与されます(抗がん剤との併用療法の安全性が確立していないからです)。

プロテアソーム阻害剤の副作用
ボルテゾミブ(商品名:ベルケイド)では、末梢神経障害、嘔吐や下痢などの消化管障害がみられます。また、骨髄の正常な細胞にも作用するため、白血球や赤血球、血小板などの血液細胞が減少する「骨髄抑制」が高い頻度で起こります。
まれに心臓血管障害などの重い副作用をおこす例があります。

抗がん剤:血管新生阻害剤とは?

血管新生阻害剤の特徴
がん細胞が分裂、増殖するためには大量の酸素や栄養が必要となります。
しかし、がん細胞は密集して成長していくために、周囲の酸素や栄養が不足し、一部のがん細胞は死滅してしまいます。そこで、がん組織は、酸素や栄養を補給する腫瘍血管を新たに作りだして成長、増殖を続けようとします。

ベバシズマブ(商品名:アバスチン)

その腫瘍血管の成長に欠かせない血管内皮増殖因子(VEGF)に結合して働きを阻害するのが血管新生阻害剤です。腫瘍血管を縮小させたり新生を抑制したりする兵糧攻め作用に加え、異常な腫瘍血管を正常化することで併用する抗がん剤が効率よく届くようにする作用があります。

また、がん細胞は血流に乗ってほかの臓器に転移することがあります。
そこで、血管新生阻害剤を用いることによって、がんの内部に新たな腫瘍血管が伸びることを防げば、がん細胞の転移も抑えられると考えられています。

代表的な薬
日本では認可された血管新生阻害剤は、2007年4月に中外製薬が製造販売承認を得たベバシズマブ(商品名:アバスチン)だけです。ただし、副作用の緊急事態に対応でき、併用の化学療法が行える病院・医師に限って供給されるという条件が付与されています。
海外ではベバシズマブのほかサリドマイドが承認されており、日本での臨床試験も進められています。

血管新生阻害剤の投与法
ベバシズマブ(商品名:アバスチン)は静脈に点滴で投与します。サリドマイドは錠剤やカプセル剤として経口投与します。

治療対象となるがん
ベバシズマブ(商品名:アバスチン)は進行・再発し手術が不可能な大腸がんを、サリドマイドは多発性骨髄腫をそれぞれの治療対象としています。なおベバシズマブは肺がん乳がんに対する効果も確認されています。

血管新生阻害剤の副作用
血管新生阻害剤に共通してみられる副作用としては、正常な発育を妨げることが挙げられます。そのため、小児や妊婦には原則的に使用されません。
サリドマイドでは強い眠気、手足の痺れやシカシカするなどの末梢神経の異常、血液凝固機能の低下などがありますが、最大の副作用は胎児が奇形になる催奇形性です。
ベバシズマブ(商品名:アバスチン)では発熱、発疹、悪寒などが起こりますが、重大なものとしては心筋梗塞、狭心症、脳梗塞などを引き起こす心臓血管障害や喀血、消化管に穴があく(穿孔)などが挙げられます。

抗がん剤:抗体製剤(モノクローナル抗体)とは?

抗体製剤の特徴
病原体や毒物、がん細胞と闘う免疫システムの中で、中心的な役割を果たしているのは抗体と呼ばれるタンパク質です。抗体製剤(モノクローナル抗体)とは、がん治療のために、遺伝子工学を利用してつくられた人工の抗体のことで、がん細胞を見分けて攻撃したり、免疫システムを活性化させるはたらきがあります。

リツキシマブ(商品名:リツキサン)

抗体製剤は、がん細胞の表面にある特定の物質を抗原として判別できるようにつくられていますが、必ずしも患者が同じ抗体を持っているとは限りません。がん細胞がこの抗体を持たない場合は、抗体製剤の治療対象とはなりません。
近年では、特定の抗原に作用する抗体を量産できるようになったことで、がん組織にだけ集中的に攻撃するミサイル療法などが試みられています。

代表的な薬
がん細胞の抗原は数多く発見されていますが、実用化されている抗体製剤はまだ少ないのが現状です。代表的な抗体製剤はリツキシマブ(商品名:リツキサン)、2005年に国内承認されたゲムツズマブオゾガマイシン(商品名:マイロターグ)などです。
ほかには、トラスツズマブやセツキシマブも抗体製剤ですが、がん細胞への増殖信号を止めて、分裂を妨害する役割を持つので、一般的にはシグナル阻害剤として分類されています。

抗体製剤の投与法
点滴で静脈に投与します。

治療対象となるがん
リツキシマブ(商品名:リツキサン)は悪性リンパ腫を、ゲムツズマブオゾガマイシン(商品名:マイロターグ)が骨髄性白血病を治療対象としています。

抗体製剤の副作用
抗体製剤は、がん細胞特有のタンパク質を認識して作用するので、ほかの抗がん剤のように強い副作用はあまり認められません。
ただし、抗体製剤は人の体内で生産されたものではなく、遺伝子工学によって人工的につくられた抗体ですので、免疫システムが抗体を異物と認識して、発疹、発熱、かゆみなどのアレルギー反応が起こることがあります。また、ゲムツズマブオゾガマイシンでは、上記の副作用に加えて、重い肺炎や出血、肝臓障害などが発症する場合もあります。

抗がん剤:シグナル阻害剤とは?

シグナル阻害剤の特徴
体内の正常な細胞は、「増殖せよ」というホルモンなどからの信号(シグナル)を受け細胞分裂をおこします。しかし、がん細胞はこれらの増殖信号を自分で作り出したり、あるいは存在しない増殖信号を勝手に受け取ったと判断して活発に細胞分裂を開始します。
そこで、シグナル阻害剤は、がん細胞がこれらの増殖信号を受け取れないようにしたり、増殖信号を途中でストップさせて分裂を阻止します。

ゲフィチニブ(商品名:イレッサ)

代表的な薬
国内で一般的に用いられているシグナル阻害剤は、イマチニブ(商品名:グリベック)とトラスツズマブです。ゲフィチニブ(商品名:イレッサ)は肺がん治療薬として用いられていますが、2002年以降の副作用死者数が700人を超え、社会問題化しています。ただ、最近の研究で肺がんのEGFR受容体の遺伝子が変異している患者にのみゲフィチニブが有効という説が発表されたため、治療前に遺伝子検査を行ない、薬の有効性を確認してから投与を開始する医療機関が増えてきています。
なお、日本では未承認ですが、アメリカではエルロチニブ(商品名:タルセバ)というシグナル阻害剤が、ゲフィチニブに代わって肺がんに対して使用されています。

シグナル阻害剤の投与法
ゲフィニチブやイマチニブはカプセル剤や錠剤として経口投与しますが、抗体製剤でもあるトラスツズマブとセツキシマブは、静脈に点滴投与します。

治療対象となるがん
イマチニブは慢性骨髄性白血病とGIST(消化管間質腫瘍)、抗体製剤でもあるトラスツズマブは乳がん、そしてゲフィチニブは肺がんが治療対象となっています。ただし、ゲフィチニブは「延命効果が認められない」として、アメリカでは使用されていません。

シグナル阻害剤の副作用
共通している副作用としては吐き気や嘔吐、下痢、発疹などが挙げられます。
しかし、シグナル阻害剤はほかの抗がん剤と組み合わせて用いられているように、単独ではそれほど強い効果はありません。そのため、上記の副作用の強さも他の抗がん剤ほど深刻ではありません。

ただ、最近のニュースなどでご存知の方も多いと思いますが、ゲフィチニブ(商品名:イレッサ)は間質性肺炎を引き起こす恐れがあり、もし発症した場合は、ステロイド剤などで直ちに治療をしないと生命に関わる危険性があります。(イレッサの詳細につきましては、販売元のアストラゼネカによる"イレッサ総合情報サイト"をご覧ください)
また、イマチニブには骨髄抑制や肺や心臓に水が溜まる水腫という重大な副作用があります。

関連ページ:SMAP法で抗がん剤「イレッサ」の感受性を迅速に診断

抗がん剤:抗がん抗生物質とは?

抗がん抗生物質の特徴
抗がん抗生物質は数が多いですが、共通している特徴としては、細胞内の遺伝子DNAやRNAに直接作用してがん細胞を殺すという点が挙げられます。
例えば、使用頻度の高いブレオマイシンという抗がん抗生物質は、がん細胞の中で抗生物質を発生させ、それがDNAを傷つけるために、がん細胞は死ぬことになります。
また、ドキソルビシンという抗生物質は、DNAを繋ぎなおす役割を持つ酵素の働きを妨害して、がん細胞のDNAを切断したままの状態にします。
抗生物質の多くは、細胞内のDNAの複製を妨害するので、活発に分裂する細胞ほど、抗生物質が効果を発揮することになります。

代表的な薬
抗がん剤として用いられる抗生物質は数多くあります。使用頻度の高いものとしては、日本で発見され世界的にも広く使われているマイトマイシンCやブレオマイシンのほか、アクチノマイシンD、ドキソルビシンなどが挙げられます。(参考:抗がん性抗生物質の一覧

抗がん抗生物質の投与法
一般に静脈への点滴や注射などによって投与しますが、この際に薬が少しでも皮膚に付着すると、皮膚や皮下組織に強い炎症を引き起こす恐れれがあるので細心の注意が必要となります。
ブレオマイシンはそのほか、筋肉注射や皮下注射、皮膚がんに対しては軟膏の形で塗布する場合もあります。

治療対象となるがん
ブレオマイシンは扁平上皮がんに効果が高いとされているほか、精巣腫瘍皮膚がんなども治療対象となっています。
マイトマイシンCやドキソルビシンは白血病リンパ腫などの血液がんをはじめ、消化器系のがんや肺がん乳がん子宮がんなどの固形がんなどにも幅広く使用されています。
アクチノマイシンDは、生殖細胞系のがんが多い子供のがんや卵巣がん、精巣腫瘍などの生殖器系のがんに効果を発揮します。

抗がん抗生物質の副作用
ほかの抗がん剤と同様に、血球や血小板の数が減少してしまう骨髄抑制が代表的な副作用となっています。
ブレオマイシンは骨髄抑制の発生率は低い反面、肺線維症を引き起こす場合があるので、患者の呼吸機能を観察しつつ投与をします。
ドキソルビシンは投与量が多くなると、心筋障害を引き起こす可能性が高くなるので、決められた最大投与量を厳守することが大切です。

抗がん剤:生物学的応答調節剤とは?

がん細胞はもともと人間の体の一部ですが、免疫はこれを異物あるいは外敵と認識して攻撃することがあります。そこで、がん細胞に対して体が示すこのような免疫作用を強めて、免疫によってがん細胞を破壊しようという目的で開発されたのが生物学的応答調節剤です。
生物学的応答調節剤には、インターフェロンやインターロイキンのようなサイトカインのほか、免疫賦活剤、抗体製剤などがあります。

インターフェロン・ベータ(IFNモチダ)

サイトカインの特徴
サイトカインとは、免疫細胞同士の間で情報伝達のためにやり取りされるタンパク質(インターフェロン、インターロイキン)のことです。
サイトカインは免疫系の連絡係として、免疫細胞の働きを促進しています。
また、インターフェロンや腫瘍壊死因子のようにがんを直接攻撃するものもあります。

代表的な薬
インターフェロンには、アルファ、ベータ、ガンマの3種類があります。
また、投与回数を減らすために体内での滞在時間が長い「ペグ・インターフェロン」という薬も開発されています。インターロイキンは数多くの種類が発見されていますが、抗がん剤として認められているのはインターロイキン2(セルモロイキン、テセロイキン)のみです。(参考:生物学的応答調節剤の一覧

サイトカインの投与法
インターフェロンは1日1回の投与が原則です。治療対象となるがんによって投与法は異なり、静脈投与、皮下注射、筋肉注射などの用いられています。
インターロイキンの場合は、1日1〜2回点滴で静脈に投与されます。

治療対象となるがん
免疫療法が効果を発揮しやすい腎臓がん、悪性黒色腫(メラノーマ)などが主な治療対象となります。
ほかにも、白血病、多発性骨髄腫、脳腫瘍、悪性リンパ腫に用いられています。

サイトカインの副作用
発熱、悪寒、疲労感、頭痛などが代表的な副作用ですが、精神状態にも作用しますので、うつ状態になったり、軽い記憶障害などを引き起こすこともあります。

次は免疫賦活剤についての情報です。

免疫賦活剤の特徴
免疫賦活剤は免疫作用全般を向上させる薬で、がんに対する免疫を高めるわけではありません。
そのため、免疫賦活剤そのものにがん治療効果はなく、他の抗がん剤と併用して、延命効果やがんの再発抑制効果を高めることを目標にしています。

代表的な薬
結核ワクチンとして知られているBCGのほか、ピシバニール、クレスチン、レンチナン、ウベニクスなどが用いられています。

免疫賦活剤の投与法
クレスチンやウベニクスはカプセル状剤、レンチナンは静脈投与、ピシバニールは筋肉注射や皮下注射、皮内注射で投与します。。

治療対象となるがん
BCGは、膀胱がん腎盂・尿管がんを治療対象としています。レンチナンは胃がん、ウベニメクスは一部の胃がん、クレスチンは胃がん、大腸がん肺がんに使用されています。
ピシバニールは治療対象となるがんが多く、肺がん、胃がん、喉頭がん、咽頭がん甲状腺がんに用いられます。

免疫賦活剤の副作用
発熱、吐き気や嘔吐、下痢、頭痛などが比較的多く見られる副作用ですが、人によっては副作用が全く現れないこともあります。
しかし、ピシバニールではアレルギー反応のほか、急性腎不全、肺炎などの重大な副作用を引き起こす場合がありますので注意が必要です。

抗がん剤:ホルモン剤とは?

ホルモン剤の特徴
ホルモン剤の特徴は、がんを死滅させるのではなく、がんの増殖を止めて活動休止状態にさせる点にあります。このため、がんが完全に治癒することはありませんが、がんの進行を遅らせたりでき、ほかの抗がん剤のように強い副作用もあまりありません。
欧米では、がんの発症リスクの高い人に対して予防的に投与されています。

アナストロゾール(商品名:アリミデックス)

ホルモン剤の種類

性ホルモン(ホルモン剤)
男性ホルモンによって増殖するがんには女性ホルモンを投与、女性ホルモンによって増殖するがんには男性ホルモンを投与、というふうに『逆の性ホルモン』で性ホルモンのはたらきを妨げます。

抗ホルモン剤
ホルモンに似せた物質をつくってがんの病巣へ送り込み、がん細胞の中にある受容体(ホルモンを受け取る物質)と結合させ、がん細胞の増殖指令伝達を阻害します。

ホルモン生成阻害剤(アロマターゼ阻害剤)
性ホルモンの生産を止める薬です。女性ホルモンであるエストロゲンは女性の卵巣から分泌されるではありません。副腎から分泌される男性ホルモン(テストステロン)がアロマターゼと呼ばれる酵素によってエストロゲンへと変化します。
そこで、このアロマターゼの働きを抑えることによって、エストロゲンの生産を抑えようと開発されたのがアロマターゼ阻害剤です。

代表的な薬
近年では性ホルモンが使われる機会は少なくなってきていますが、前立腺がんにはエストロゲン製剤が、乳がんや子宮がんにはプロゲステロン製剤が用いられています。
ホルモン剤のなかでがん治療に最もよく用いられているのは抗ホルモン剤で、タモキフェシン、ラロキシフェン、トレミフェン、フルタミドなどがあります。
閉経後の乳がんに効果があるとされているアロマターゼ阻害剤(ホルモン生成阻害剤)には、アナストロゾール、エキセメスタンなどがあります。(参考:ホルモン剤の一覧

ホルモン剤の投与法
液剤や錠剤の形で毎日服用する経口剤が主流です。

治療対象となるがん
男性では前立腺がん、女性は乳がん子宮体がん卵巣がんといったように生殖器のがんが対象となります。ただし、『性ホルモンで成長する』がんのみが対象ですので、がんがホルモンによって成長しない場合には、この抗がん剤は効果を示しません。

ホルモン剤の副作用
重大な副作用としては、稀に血栓症や心臓の障害を起こすことがありますが、ホルモン剤とともに血液凝固阻害剤を服用することで予防は可能です。
ホルモン剤は性ホルモンを抑制するので、眩暈、頭痛、倦怠感、性欲の減退(男性)、膣の乾燥(女性)などの更年期障害の症状が現れます。
ただし、抗がん剤全体から見ると、比較的副作用は少ないと言えるでしょう。

抗がん剤:代謝拮抗剤とは?

代謝拮抗剤の特徴
代謝拮抗剤の大きな特徴は、がん細胞が増殖の際に必要とするDNAやRNAの材料になりすますという点です。がん細胞はこれらのなりすましを「本物」と勘違いして、代謝拮抗剤を取り込んでしまいます。その結果、不完全なDNAやRNAができ、がん細胞の分裂が中断され、一部のがん細胞は死滅してしまいます。

フルオロウラシル

ただし、代謝拮抗剤はがん細胞がDNAを合成しているときにのみ有効となります。
がん細胞は、DNAを常時合成しているわけではなく、細胞分裂が止まっている時間やその準備期間もありますので、この時間帯は代謝拮抗剤は効果を発揮しません。
この点が、がん細胞の状態に関わらず効果を発揮する(その分、副作用も大きいですが)アルキル化剤との大きな違いとなります。
そのため、がん細胞がDNAを合成する期間まで、代謝拮抗剤をより長時間体内に存在させることが重要になります。

代表的な薬
国内外で最も使用頻度が高いのは、フルオロウラシルです。同じフルオロウラシル系のプロドラッグ(体内で薬へ変化する)や配合剤であるテガフール・ウラシル(UFT)、テガフール、カペシタビンなどもよく使われています。(参考:代謝拮抗剤の一覧

代謝拮抗剤の投与法
代謝拮抗剤は、がん細胞がDNAを合成する期間に効力を発揮するので、同剤が体内にとどまる時間が長いほど望ましいと考えられています。
そのため、数時間をかけて点滴を行なう連続投与や、経口剤を毎日飲む方法一般的です。
代謝拮抗剤は、ほかの薬と組み合わせることによって効果が増強する場合がありますので、がんの種類に合わせて、プラチナ製剤などを併用することもあります。

治療対象となるがん
乳がん卵巣がん白血病や抗がん剤が効力を発揮しにくいとされる消化器系のがん(胃がん大腸がんなど)に使用されています。

代謝拮抗剤の副作用
抗がん剤の中では副作用は少ない部類に入ります。代表的な副作用は、むかつき、嘔吐、下痢、脱毛、口内炎が挙げられます。骨髄抑制を起こして、血球や血小板の数が減少する場合もあります。

抗がん剤:プラチナ製剤とは?

プラチナ製剤の特徴
プラチナ製剤は、アルキル化剤と同じく、遺伝子DNAに直接作用する抗がん剤です。
プラチナ製剤は、体内に入ると活性体に変換され、その活性体ががん細胞内のDNAやたんぱく質と結合します。この結合の結果、DNAの複製および転写が阻害され、がん細胞は分裂できなくなって死滅に至ります。

シスプラチン

代表的な薬
現在、最も多く使用されているプラチナ製剤はシスプラチンと呼ばれるものです。
その他、シスプラチンと同様の効果を持ち、腎臓損傷などの副作用が起こりにくいとされているカルボプラチン、ネダプラチンなどがあります。
また、日本で開発されたものの、海外で臨床試験が進み、がん患者の強い要望もあって逆輸入されたオキサリプラチン(大腸がんの抗がん剤)もプラチナ製剤です。(参考:プラチナ製剤の一覧

プラチナ製剤の投与法
代表的なプラチナ製剤であるシスプラチンは、生理食塩水に混ぜて点滴します。
これは、シスプラチンの分解を防ぐうえで、塩素が重要なはたらきをしていることと、シスプラチンの副作用である腎臓損傷を防ぐために、水分補給が必要であるためです。
プラチナ製剤は、全身投与(静脈投与)のほか、腹腔内や冠動脈への注入も行ないます。

治療対象となるがん
プラチナ製剤は多くのがんに対して治療効果を示しますが、なかでも精巣腫瘍や一部の卵巣がんには高い効果を示し、他の数種類の薬を組み合わせた治療によって、がんの完治も可能となっています。そのほか、肺がん子宮がん腎臓がん、消化器系のがん、悪性リンパ腫などに効果があるとされています。

プラチナ製剤の副作用
他の抗がん剤で多くみられる骨髄抑制(血球や血小板の生産不良)は、それほど強く現れません。
プラチナ製剤の代表的な副作用は、腎臓の損傷です。現在、最も多く使用されているシスプラチンでは、特に強い副作用が現れますので、同剤を使用する際には大量の水分を補給して、腎臓を保護することが重要となります。
また、プラチナ製剤はDNAに直接作用するため、アルキル化剤と同様に発がん性があります。

抗がん剤:アルキル化剤とは?

アルキル化剤の特徴
DNAが複製を行なっているときに最も大きな損傷を与え、さらに、複製された娘細胞にDNAの致命的内情を伝えるので、がん細胞のように活発に分裂・増殖する細胞に対して、効果的に働きます。
この薬剤は投与量を増やせば増やすほど殺細胞効果が増す性質(濃度依存性)があるため、大量投与もよくおこなわれます。

シクロホスファミド(商品名:イホマイド)

代表的な薬
最もよく使われているのは、シクロホスファミドです。続いて、ニムスチン、プロカルバジン、ダカルバジン、イホスファミドなどの使用頻度が高くなっています。(参考:アルキル化剤の一覧

アルキル化剤の投与法
注射や点滴をはじめ、カプセルや錠剤で口から飲むこと(経口投与)もできます。

治療対象となるがん
アルキル化剤はさまざまながんに対して幅広く用いられています。白血病悪性リンパ腫などの血液系がんのほか、乳がん子宮がんなどの固形がんにも使用されます。
ニムスチンなどの一部のアルキル化剤は脳の血管のフィルター(血液脳関門)を通り抜けることができるため、脳腫瘍の化学療法にも用いられます。

アルキル化剤の副作用
アルキル化剤は、抗がん剤の中でも特に副作用が強いとされています。これはアルキル化剤が、細胞やその内部のDNAの状態に関わらず作用するため、同剤そのものに発がん性が認められているためです。

よく表れる副作用としては、骨髄の働きが抑制されて、血球や血小板が十分に生産されなくなる骨髄抑制が挙げられます。また、嘔吐や胸のむかつきも投与直後からみられる場合があります。
最も使用されているシクロホスファミドでは、心不全や血性膀胱炎などを重い副作用を起こす場合があります。

抗がん剤:植物アルカロイドとは?

植物アルカロイドの特徴
強い毒性のある植物成分を応用した抗がん剤です。がん細胞の分裂に重要な働きをしている微小管の形成を阻害する「ビンカアルカロイド系」、異常な微小管の束をつくり、がん細胞の分裂を阻害する「タキサン系」、細胞分裂の過程でDNAの切断と再結合を助ける酵素(トポイソメラーゼ)の働きを阻害して、がん細胞を死滅させる「トポイソメラーゼ阻害剤」の3種類に分けられます。

ドセタキセル(商品名:タキソテール)

代表的な薬
ビンカアルカロイドにはビンクリスチンやビンブラスチン、ビンデシン、ビノレルビンがあります。ビノレルビンは新しい薬で、副作用が比較的軽く、かつ肺がん乳がんに高い効果を持つ薬として注目されています。

タキサン系にはパクリタキセルとドセタキセルがあります。いずれも90年代に厚生労働省が認可した比較的新しい薬です。トポイソメラーゼ阻害剤には、エトポシド、イリノテカン、ノギテカンなどがあります。このうち後二者は比較的新しい薬で、抗がん作用が高い反面、しばしば副作用が強く現れることで知られています。(参考:植物アルカロイドの一覧

植物アルカロイドの投与法
ビンカアルカロイドとトポイソメラーゼ阻害剤は点滴または注射で静脈に投与します。タキサン系は強いアレルギー反応(アナフィラキシー)を起こす恐れがあるので、患者の状態に注意しながら、点滴でゆっくりと投与します。

植物アルカロイドの副作用
ビンカアルカロイドの特徴的な副作用は神経障害です。末梢神経の異常のために手足が痺れたり、刺すような痛みを感じることがあります。タキサン系で注意が必要なのは強いアレルギー反応(アナフィラキシー)で呼吸困難や急激な血圧低下が起こることがあります。トポイソメラーゼ阻害剤では骨髄抑制が強く現れるとされています。

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