このサイトで解説している「がんの検査」の早見表です

近年のがん治療技術の向上は著しいものがあります。しかし、がんの進行が一定レベルを超えていたり、転移していたりすると、最新の治療技術をもってしても、完全治癒は難しくなってしまいます。
がんは、発症初期においては症状を現さないものがほとんどです。だからこそ、この時期に定期健診を受けて早期に発見し、治療をすることができれば、がんは決して恐れる病気ではありません。

がんの検査について

職場の検診や自治体では、胃がん、肺がん、大腸がん、乳がん、子宮がんなど主要ながんのスクリーニング(ふるいわけ)検査を実施しています。
また、人間ドックにおいても、この検査を実施している医療機関が増えてきました。
こうした機会や施設を積極的に利用して、定期的に検査を受けることが何よりも大切だと思います。

以下のリストはこのサイトで紹介している、「がんの検査」の一覧です。
青いリンクをクリックすると、各検査の詳細ページに移動します。
がんは、その性質や進行によって治療法は変わります。その人にあった最適な治療法を決定するためには、的確な検査に基づく、正しい診断が必要です。
各検査ページの解説が、検査前の予備知識の習得や不安感の解消に繋がれば幸いです。

  1. 病理組織検査…病変部の組織片を採取して調べ、病気を診断する検査です。
  2. 細胞診…臓器の剥がれた細胞を採取、観察して、正常なものと比較する検査です。
  3. 腫瘍マーカー…腫瘍の発生やその種類、進行度などを判断する手がかりになります。
  4. MRI検査…磁気と電磁波、水素原子の動きを利用して、体の断面を撮影する検査です。
  5. シンチグラフィー…腫瘍やがん、がんの骨への転移などを見る際に行なわれます。
  6. PET検査…放射線物質を利用し、がん細胞の位置を確認して、検出する検査です。
  7. 胸部X線検査…一般診療や健康診断などでも実施される単純撮影のことです。
  8. 胸部CT検査…肺がんの診断には、いまや欠かせない検査となっています。
  9. 気管支内視鏡検査…ファイバースコープで気管や肺の内部を観察する検査です。
  10. 喀痰検査…痰を調べて、肺や気管支など呼吸器のさまざまな情報を得る検査です。
  11. 上部消化管X線造影検査…いわゆる胃のバリウム検査です。
  12. 上部消化管内視鏡検査…一般に胃カメラといわれている検査です。
  13. ピロリ菌検査…ピロリ菌は胃炎や胃潰瘍、胃がんの原因になるといわれています。
  14. 腹部超音波検査…高周波の音を利用して、腹部内臓器の病変部を観察します。
  15. 腹腔鏡検査…腹部の臓器を直接観察したり、組織を採取して生検をおこないます。
  16. 注腸X線検査…下腹部をX線撮影して大腸を写し出し、病変を発見する検査です。
  17. 下部消化管内視鏡検査…内視鏡を挿入し、大腸の粘膜の病変を直接観察します。
  18. 前立腺針生検…前立腺に針を刺して疑わしい組織をとり、がん細胞を調べる検査です。
  19. 直腸診…患者の肛門に医師が指を挿入して、肛門や直腸下部の病変を探る検査です。
  20. 便潜血反応…大腸がんや大腸ポリープのスクリーニング検査として重要です。
  21. 膀胱鏡検査…実際に尿道と膀胱を観察して、病変の状態を知ることができます。
  22. マンモグラフィー…乳がん検査の基本です。乳房をX線を撮影します。
  23. マンモトーム生検…乳がんかどうかの最終診断のため、装置で組織を採取します。
  24. コルポスコープ診…主に子宮頚部や膣壁を拡大して精密に観察する検査です。
  25. γ-GTP…血液中に増えたときには、肝臓、膵臓、胆道系の病気が考えられます。
  26. LAP…胆道系酵素と呼ばれ、肝臓や胆道の病気を診断する手がかりとなります。
  27. A/G比…肝臓病などの病気の診断や重症度をより詳しく判定する検査です。
  28. GOT、GPT…肝臓病を見つけ出すスクリーニング検査として重要です。
  29. ペプシノーゲンT/U比…胃がんのスクリーニング検査として有用です。
  30. ICG試験…肝臓の障害がどの程度まで進んでいるかを測る検査です。

がん検診は早期発見の唯一の手段

がんは、早期発見できれば治る可能性がぐんと高くなります。異常のないことを確認するため、万が一異常があっても、大事に至らないうちに早めに手を打つため、50歳を過ぎたら毎年がん検診を受けるようにしましょう。

がん検診は市町村でも行われいる場合がありますので、市町村の保健センター・保健福祉センターに問い合わせてみましょう。がん検診を受けられる医療機関を紹介してくれるはずです。

通常、病院には健診部門があって、健診を受け付けています。インターネットで調べると、健診を専門に実施している健診センターが数多くあります。健康保険の効かない自費診療となりますので、検査項目、価格が表示されています。次に、がん検診の開始時期と検診間隔について整理してみます。

肺がん
50歳から開始するとよいでしょう。胸部レントゲン検査による場合は毎年受診します。CT検査による場合は、喫煙歴のある人は毎年、そうでない人は2年に1回受診します。また、喀痰の細胞診検査も同時にしておくと安心です。

乳がん
40歳から開始しましょう。触診に加え、超音波検査またはマンモグラフィー検査を毎年受け、超音波検査とマンモグラフィー検査の両方を隔年で受けるのもよいでしょう。

大腸がん
50歳から毎年便潜血反応を受けるようにしましょう。大腸内視鏡検査は異常がなければ3〜5年に1度くらいでよいとされています。ただし、ポリープ(腺種)が見つかった場合には、その1〜2年後に大腸内視鏡検査を受けてください。

胃がん
50歳から、バリウム検査または内視鏡検査のどちらかを毎年受けましょう。ただし慢性胃炎がなく、ヘリコバクター・ピロリ菌が陰性の人は2年に1回でもよいでしょう。

子宮頸がん
30歳から、子宮頚部の細胞診を毎年、または2年に1回受けましょう。

前立腺がん
50歳から毎年、腫瘍マーカーPSAを血液検査で調べましょう。

なお、検診で異常がなくても、検診後に何らかの症状が続いた場合には、「検診で異常がなかったから大丈夫」と考えず、ぜひ受診する必要があります。例外的に発生するがん、あるいは偶発的な見落としが皆無ではないからです。

関連ページ:このサイトで解説している「がんの検査」の一覧表

病理組織検査とは?

病理組織検査とは、病変部の組織片を採取して調べ、病気を診断する検査で、特にがんの最終的な確定診断のために重要な検査です。生検(バイオプシー)とも呼ばれています。
がんの組織型(扁平上皮がん、腺がん、未分化がんなど)、悪性度もわかり、的確な深慮方針を決定することができます。

胃がんの組織写真

病変組織は、各臓器の一部から、内視鏡や腹腔鏡、穿刺針、その他の専門器材で採取します。
採取した組織片は、ホルマリンやパラフィンで固定し、それを薄くスライスして標本をつくり、染色した後に顕微鏡で観察します。

病理組織検査は、手術を実施している途中に、切除する範囲を決めるために行なうこともあります。これを術中迅速検査といいます。
その場合は、手術方針の検討を迅速に行なうために、時間がかかるホルマリン、パラフィン固定をしないで検査することが多くなります。

病理組織検査は細胞診と似ていますが、その正確さ、精密さの点で、細胞診より優れています。しかし、臓器によっては細胞診の方が適している場合もありますので、検査をする臓器によって両方を使い分けています。

病理組織検査で何がわかるのか?
病変が腫瘍性か非腫瘍性か、良性か悪性か、悪性ならその程度はどうかなどがわかります。これらを検討して、診断の確定と治療方針の決定がなされます。

検査結果の判定
顕微鏡による検査では、検体を染色して観察します。
各臓器の組織は、それぞれ特有の細胞によって構成されていますが、がんが生じると、がん特有の変化を示します。(上の写真は胃がんの組織写真の例です)

細胞診とは?

臓器の粘膜や粘液、痰、胸水、腹水、胃液、尿などには、臓器の剥がれた細胞が混じっています。これを採取・染色して、顕微 鏡で観察し、正常なものと比較する検査が細胞診です。

病気の診断のほとんどは血液や尿の検査、画像診断などでつけられますが、腫瘍が発見され、それが良性か悪性(がん)かを判定するの困難な場合は、細胞診が決め手になることがあります。

擦過細胞診で子宮頸がんの細胞を発見

細胞の採取方法は、病変部の場所や性格によって異なります。

  1. 剥離細胞診…病変部から剥がれて痰、尿、乳汁、腹水などに混じった細胞を調べる方法
  2. 擦過細胞診…ブラシや綿棒で病変部を擦り、細胞を採取して調べる方法
  3. 穿刺吸引細胞診…注射針を病変部に刺し、細胞を吸引採取して調べる方法
  4. 捺印細胞診…摘出した細胞をガラス板に押し付け、細胞を採取して調べる方法

細胞診の分類
細胞診の判定はパパニコロウ染色という方法がよく用いられ、以下の5段階で行なわれます。

  • クラスT…異型細胞が認められない
  • クラスU…異型細胞は認められるが、悪性の疑いはない
  • クラスV…異型細胞は認められるが、悪性と断定できない
  • クラスW…悪性の疑いが濃厚な異型細胞を認める
  • クラスX…悪性と断定できる異型細胞を認める

検査結果の判定
T、Uであれば陰性で異常なしと判断されますが、Vであれば疑陽性で、がんかどうかの判別が難しく、精密検査が必要になります。
Wは陽性で、ほぼがんと診断されますが、念のため精密検査が行なわれます。
Xは明らかにがんと確定診断されます。

MRI検査とは?

MRI検査とは、磁気と電磁波、それに水素原子の動きを利用して、体の断面を撮影する検査で、磁気共鳴画像検査ともいいます。
水素には、時期に反応する性質があるため、磁場をつくる装置の中で体に電磁波を当てると、体内の水素が反応して信号を発します。その信号を捕らえて、コンピューターで解析して画像にします。
CT検査では、体を輪切りにした横断面が主体ですが、MRI検査では、縦、横、斜め、あらゆる方向から撮影することができます。X線を使わないので、放射線による被爆の心配もありません。

MRI

MRI検査で何がわかるのか?
CT検査と同様、腫瘍の大きさ、形、位置、腫瘍の数などがわかります。
X線を使う検査では、骨が白く写るので、骨が多い部位は移しにくいのですが、MRI検査では、脳や脊髄、骨に囲まれた臓器でも鮮明に写すことができます。骨の硬い部分はほとんど水分を含まないので、MRI検査では写らないためです。
一方、肺のように、水分が少なく、空気の多い臓器の検査にはあまり適していません。

MRI検査は、胆管や膵管を調べるMRCP(磁気共鳴胆管膵管撮影)にも応用されています。
胆管や膵管の検査法には、内視鏡を使ったらERCP(内視鏡逆行性胆管膵管造影)がありますが、最近は、患者の身体的負担の軽いMRCPが主流になってきています。

また、MRIで血管を撮影して、コンピューターで処理するMRA(磁気共鳴血管撮影)も行なわれます。がんの組織は血流が豊富で、周囲には新しい血管(新生血管)がたくさんできます。
この検査で、がんに栄養を送っている血管の位置や数などがわかります。
そのほか、肝臓に送り込まれるMRI専用の特殊な造影剤もあります。この造影剤を用いて、MRI検査を行なうと、がん細胞がより黒く映し出されます。

MRI検査はどのような検査か?
検査着に着替えて、MRI装置のベッドに仰向けに寝ます。このベッドは電磁波を発生させるガントリーと呼ばれる大きな円筒状の穴にスライドします。
ガントリーは少し長いトンネル状で、そこに入ると、工事現場のような音が耳元で連続して聞こえますが、できるだけ動かないようにしてください。検査時間は30〜50分です。

検査中の痛みはありませんが、騒音が苦手な人や閉所が嫌いな人は苦痛を感じるかもしれません。装置内にはマイクがありますので、気分が悪くなった場合は遠慮せずに申し出ましょう。
検査後は安静の必要もなく、食事も普段どおりにしてかまいません。

検査を受けるときの注意

  • 腹胸部の検査や造影MRIの前には食事制限がかかります。
  • 腹部の検査で腸の蠕動(ぜんどう)運動が激しいと画像が不鮮明になるので、検査直前に蠕動運動を鎮める薬を注射する場合があります。
  • X線と違って被爆の心配はありませんが、念のため妊娠中の人は申し出てください。
  • 心臓ペースメーカー、心臓人工弁を入れている人は検査を受けることはできません。
  • 脳動脈瘤でクリッピング手術を受けた患者さんは、注意が必要です。クリップが磁性体だと、磁力によって移動してはずれ、再出血の恐れがあります。ただしクリップが非磁性体の場合もありますので、医師に相談してください。
  • MRI装置の内部は、磁場となるので、磁気に影響する金属製のアクセサリー、留め金のついた衣服、腕時計などはずしておいてください。

検査結果の判定
あらゆる臓器の任意の断面が画像化され、腫瘍や血栓や梗塞、動脈瘤などが発見できます。
画像の読み取りは専門医が行ないます。MRIだけで診断がつく場合もありますが、通常は超音波検査や血管造影検査など、ほかの画像検査の組み合わせにより診断されます。

異常があったらどうするか?
腫瘍などが疑われる場合、それががんであるかどうか組織の一部を採取して病理組織検査細胞診を行なったり、腫瘍マーカー検査などを行ないます。

異常な場合に疑われる病気
あらゆる臓器のがん、腫瘍、結石、脳出血、脳梗塞、くも膜下出血、動脈瘤など

シンチグラフィーとは?

シンチグラフィーとは、放射線を発するRI(放射性同位元素=ラジオアイソトープ)剤を投与した際に体から放出される放射線を、シンチカメラという機械でとらえ、コンピューター処理して画像化する検査とのことです。
RI検査、シンチグラム、核医学検査、アイソトープ検査とも呼ばれており、体内での放射線の強さや時間的な変化、分布の様子を調べ、各臓器の形の変化と動きを知るための検査です。

シンチカメラで放射線をとらえます

投与されるRIはγ(ガンマ)線など体内に入っても害のほとんどない放射性同位元素で、検査対象となる臓器に集まるような性質を持っています。このRIの分布状態から、臓器、組織の形態や機能を調べ、病変部発見の手がかりとすることができます。

シンチグラフィーで何がわかるのか?
RIの分布状態を観察することにより、甲状腺、肺、肝臓、副腎などの異常や全身の骨の状態、脳や心筋の血流状態について詳しい情報が得られます。
また、腫瘍やがん、副腎や甲状腺機能の検査、がんの骨への転移などを見る際にも行なわれる検査です。

シンチグラフィーはどのような検査か?
放射性物質を使うので、RI検査室という特別な部屋で検査を行ないます。
検査する臓器に適した放射性同位元素を静脈から注射し、しばらく時間(検査目的により異なる)をおいて、シンチカメラで体内に集まった放射線を測定します。
このデータをコンピューターで処理し、画像に映し出したり、高速写真で撮影したりします。
検査時間は対象部位により異なり、数十分から数時間以上かかることもあります。

検査を受けるときの注意

  • 撮影前には、金属製のボタン、留め金、装飾がついた衣類、アクセサリーは着脱して、検査着が用意されればそれに着替えましょう。
  • X線に比べて、放射線による被曝はほとんどありませんが、妊娠や妊娠している可能性のある人は、必ず医師に申し出てください。
  • 臓器によっては、検査前に運動負荷をかけたり、薬を飲んだりする場合もあります。
  • 検査前日あるいは検査の数時間前から食事制限が指示されることがあります。

検査結果の判定
すぐにわかります。異常があればその他の検査データと比較検討したうえで、診断が行なわれます。

異常があったらどうするか?
病変が確認された場合は、血液検査、内視鏡検査、超音波検査など他の検査と総合して診断が確定されます。
腫瘍などが疑われる場合、それががんであるかどうか組織の一部を採取して生検、細胞診を行なったり、腫瘍マーカー検査などを行ないます。
さらに詳しいシンチグラフィーとしては、X線CTのように臓器、器官の断面画像を得るSPECT(単光子放射断層撮影)、PET(陽電子放射断層撮影)などが行なわれる場合もあります。

異常な場合に疑われる病気
甲状腺機能亢進症、甲状腺腫瘍、肺がん、肝硬変、肝臓がん腎臓がん、副腎機能の異常、悪性リンパ腫、心筋梗塞、がんの骨転移など

PET検査とは?

PET検査とは、ブドウ糖と結合した放射性物質(FDG)という検査薬ががんに取り込まれて集積しやすいという特性を利用し、がん細胞の位置を確認して、検出する検査です。
普通のシンチグラフィーでは、一方向の放射線をとらえますが、PETの場合は、多方向の放射線をとらえるので、体の各断面を映し出せます。それだけ、より詳しく調べることができます。
近年は、PETとCTを組み合わせたPET-CTも開発されており、より精度の高い画像を得られるようになっています。

PET

PET検査で何がわかるのか?
PET検査は、薬剤の集まり具合を診ることで、腫瘍の悪性・良性の診断ができます。
従来の検査では発見が難しかった小さながんや、リンパ節に転移したがんが発見できます。
PET検査は一度で全身のスクリーニングを行えるため、予期せぬところにできたがんを発見することもできます。転移・再発がないかを確認したり、がんの進行度を診断するのにも役立っています。

また、現在行なっている治療効果の判定にもPET検査は有効です。
治療後、画像検査を行なうと、がんが死滅して残骸が画像に移る場合と、まだ残っている病巣が写る場合があります。普通の画像検査では、どちらかは鑑別できませんが、PETを使えば鑑別できます。

ただ、PET検査はがんの早期発見に大変有用ですが万能ではありません。
肺がん、大腸がん、乳がん、子宮がん、甲状腺がん、悪性リンパ腫などの多くのがんには有効ですが、胃がん、腎臓がん、前立腺がん、膀胱がんなどには不向きとされます。

PET検査はどのような検査か?
検査着に着替えて、ベッドに横になって静脈からブドウ糖と結合した放射性物質(FDG)を注射します。
体内にFDGが十分に行き渡るように、安静にして待ちます。その後、シンチカメラで撮影し、コンピューターで画像化します。検査は全身を撮影するので約1時間かかります。

検査を受けるときの注意

  • 検査前後の2時間は絶食、絶飲します。
  • 放射性物質を用いるので、妊娠中かその可能性のある人は予め申し出てください。
  • 使用されたFDGは、尿として体外に排出されますので、トイレの後よく手を洗うよう心がけてください。
  • PETは特殊な検査機器が必要ですので、一部の医療機関でしか行なえません。

異常があったらどうするか?
がん検診の標準的なコースには、PET以外に、MRIやCT、エコー、採血などの検査が含まれていることが多く、その場合、PETと前後してほかの検査を行います。それらの結果と対比して診断がなされ、治療方針が決定されます。

異常な場合に疑われる病気
各臓器のがん、脳腫瘍、脳出血、脳梗塞、アルツハイマー病、パーキンソン病など

胸部X線検査とは?

胸部X線検査とは、スクリーニング(ふるいわけ)検査として、一般診療や健康診断などでも実施される単純撮影のことを指します。エックス線は人体を通り抜けますが、骨のように通り抜けにくいところがあるため、通り抜けたX線を画面に写すと濃淡ができ、体内の様子を知ることができます。

胸部エックス線の画像です

胸部X線検査は、X線検査の中で最も簡単な検査方法ですが、肺や心臓、肺の間にある縦隔などの期間の病気について、様々な情報を得ることができますので、幅広く行なわれています。

胸部を平面として撮影する単純X線検査と、断面として撮影する断層撮影検査とがありますが、単に胸部X線検査といえば、前者を指します。この検査で異常が認められれば、断層撮影検査も行ないます。

胸部X線検査で何がわかるのか?
肺炎、肺結核、肺がん、肺気腫、胸水、気胸、縦隔腫瘍をはじめとする呼吸器系疾患の有無、その程度を知ることができます。そのほか、心拡大も判定できます。

胸部X線検査はどのような検査か?
X線撮影室に入り、上半身は裸になるか、金具のついていない下着1枚になります。フィルムの入った撮影装置に胸を押し付けて、息を十分に吸ったところで息を止め、背中からX線を照射します。
さらに、横を向いて胸の側面を装置につけて、横からも撮影します。側面から撮影すると、心臓と肺が重なり合ったり、骨の陰になって映りにくい部分も写し出すことができます。

照射時間は1回0.02秒程度で、検査は3分もあれば終了します。苦痛は全くありません。単純撮影ではX線量も少ないので、副作用の心配はほとんどありません。

検査を受けるときの注意

  • 金具などのついた下着は避けましょう。
  • 撮影のとき、息を大きく吸ったあと息を止め、体を動かさないようにします。
  • 妊娠しているとき、あるいは妊娠の可能性があるときは、必ず事前に申し出ておきましょう。
  • 最近、他の医療機関などでX線検査を受けた場合も、その内容を事前に報告しておきます。

検査結果の判定
X線が通るところは黒く写り、通りにくいところは白っぽく写りますから、その影を観察することで判定します。
がんは不整な円形の白い影が見られます。肺結核や肺炎などで炎症が起こっていると、境目のはっきりしないような白い影が見られます。肺に穴のあく気胸では、胸膜にたまった空気が黒い影になって写ります。

異常があったらどうするか?
肺がんが疑われるときには、胸部CT検査喀痰検査気管支内視鏡検査、腫瘍マーカー(CYFRA、SCC)などの精密検査を受けます。
その他の肺の病気でも、X線断層撮影や肺機能検査などの専門的な検査を受けます。

異常な場合に疑われる病気

  • 肺…肺がん、肺結核、肺炎、気管支炎、肺気腫、気胸、胸膜炎、胸水など
  • 心臓…心肥大、心拡大、胸部大動脈瘤など

胸部CT検査とは?

CT検査とは、人体を輪切りにした上体であてたX線をコンピューターで分析し、人体の横断面を画像に写し出す検査です。胸の部分に行なうのが胸部CT検査です。

胸部の断層面画像です

胸部CT検査で何がわかるのか?
胸部X線検査で何か異常所見が見つかって、その次の精密検査として胸部CTを撮影することはよくあります。とくに肺野の病変に関して肺炎や廃腫瘍をはじめとしてCTは非常に多くの情報をもたらします。

また胸部X線撮影で異常がなくても、症状などから病変が疑われるときにもCTをおこなうことがあります。胸部X線撮影に比べてCTのほうが、わずかな変化でも発見しやすいからです。

検査を受けるときの注意
CTを撮影できない人はほとんど居ませんが、胸部CTでは一部の心臓のペースメーカーが影響を受けることが明らかになっています。ペースメーカーを装着している人は必ず申告しましょう。

異常があったらどうするか?
CT検査で病気が発見されたら、それはほぼ確実な診断ですので、さらに必要な検査を受けるとともに、医師の指示に従って治療を進めます。

異常な場合に疑われる病気
肺がん、肺炎、肺結核、肺気腫、気管支拡張症など

気管支内視鏡検査とは?

気管支内視鏡検査とは、ファイバースコープという細い管を口から挿入して、気管や肺の内部を観察する検査です。胸部X線検査喀痰検査胸部CT検査で、肺がんが疑われるとき行なう最終検査です。

気管支の内視鏡画像です

気管支を観察しつつ、がん細胞らしき病変があれば、その場で病変の一部を採取したり(生検)、ブラシで病変部を擦り取ったり(擦過)して、その細胞を病理検査し、がんの確定診断をします。
そのほか、肺結核、サルコイドーシス、肺線維症などの診断や、血痰、喀血時の出血部位の確認などにも、この検査が行なわれます。

気管支内視鏡検査で何がわかるのか?
病変の場所、状態、大きさなどがわかります。採取した細胞を顕微鏡で調べることによって、がんの確定診断が下せます。肺がんのほか、気管支炎、気管支拡張症、肺線維症などの診断に役立ち、出血している場所の確認も行なわれます。

気管支内視鏡検査はどのような検査か?
検査着に着替え、咳や分泌物を抑える注射をした後、喉にスプレーを吹きつけ麻酔をします。
まず、ファイバースコープを円滑に挿入するためのチューブを通し、そのあとファイバースコープを入れていきます。ファイバースコープの太さはおよそ5mmで、喉を通るときに息が詰まるような感じがして吐き気をもよおす場合もありますが、すぐにおさまりますので心配はいりません。
検査時間は組織の採取も含めておよそ30分です。検査後1〜2時間の安静が必要となります。

検査を受けるときの注意

  • 前日の夕食を食べた後は絶食します。
  • 検査の前に深呼吸をして全身の力を抜きます。
  • ファイバースコープを口から気管に挿入するとき、咳や吐き気を催すことがありますが、我慢しましょう。咳がどうしても我慢できない場合は、咳止めの薬がその場で出されます。
  • 検査中は声が出せませんので、苦痛などがあれば手で合図をします。
  • 検査後2時間は飲食は禁止です。麻酔が残っているため、間違って気管に入ってしまうことがあるのを避けるためです。
  • 検査の後血痰が出ることがありますが、心配はいりません。あまり多く出るようであれば、医師に連絡しましょう。

検査結果の判定
病変の観察結果と、細胞診(7〜10日後)の結果によって、判定します。

異常があったらどうするか?
この内視鏡検査を行なえば、診断が確実なものになりますから、医師の指示に従って、治療を受けることが大切です。

異常な場合に疑われる病気
肺がん、気管支がん、気管支炎、肺炎、気管支拡張症、肺線維症、びまん性間質性肺疾患などの呼吸器系の病気

喀痰(かくたん)検査とは?

喀痰(かくたん)検査とは、痰を採取して、その中にどのような病的な成分が含まれているかを顕微鏡で観察する検査で、呼吸器の病気を診断するためには不可欠なものとなっています。

痰は呼吸器系の粘膜からしみ出る分泌物で、その成分には、肺や気管支、咽喉頭など気道からはがれた細胞も含まれています。これらの細胞に異常があったり、異物(細菌、ウイルス、ほこりなど)や血液成分が混じっていたりすると、痰に変化があらわれます。痰を調べれば、肺や気管支など呼吸器のさまざまな情報を得ることができるのです。

喀痰検査で何がわかるのか?
痰の検査には、細菌検査と細胞診とがあります。

喀痰細菌検査
痰に混じっている細菌や真菌(カビ)など、肺炎や気管支炎の原因になっている菌を突き止めます。
この検査には、採取した痰をガラスに塗りつけて顕微鏡で菌を見つける塗抹検査と、痰の中の菌を培養で増やし、菌の種類を確認する培養検査の2つの方法があります。菌の培養には2〜3日、結核菌は2ヶ月ほどかかります。

喀痰細胞診
単に混じった細胞を顕微鏡で調べ、がん細胞がないかどうかを調べる検査です。ブラッシングといって、気管支内視鏡を入れて粘膜を擦り取り、それを顕微鏡で調べることもあります。
がんの確定診断には、がん細胞を証明することが必要です。肺がんは、痰の中にがん細胞が排出ことも多く、そのため肺がんの診断の一つとして喀痰細胞診が行なわれています。

検査結果の判定
喀痰細菌検査で原因菌を明らかにし、培養検査の際、色々な薬剤を加え、その薬が効くかどうかの感受性試験を行ない治療薬を決定します。
喀痰細胞診で調べた細胞を正常細胞を1、がん細胞を5とし、疑わしさの程度によって5段階に分類します。

異常があったらどうするか?
原因菌が見つかれば、それに対する治療を行ないます。
がん細胞が見つかったときには、直ちに精密検査を受け、適切な処置をとります。

異常な場合に疑われる病気
肺がん喉頭がん、肺結核、細菌性肺炎、非細菌性肺炎(マイコプラズマなど)、肺真菌症、気管支炎など

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上部消化管X線造影検査とは?

いわゆる胃のバリウム検査です。胃痛があるときは、まず胃潰瘍や胃がんを疑ってこの検査を行ないます。胃や腸は、筋肉を中心とした柔らかい組織でできているため、X線を透過してしまい、腹部単純X線検査では写らないため、X線を透過しないバリウムを造影剤として使って撮影します。

バリウム検査

バリウムを飲んで、さらに発泡剤で胃を膨らませますので、胃の内面にバリウムを塗りつけた状態になります。こうすることによって、胃壁に生じた病変を、早いうちから的確に発見することができます。この方法を二重撮影法といいます。

上部消化管とは、口から小腸までをいい、この検査は胃潰瘍、胃がんをはじめ、食道潰瘍、食道静脈瘤、胃ポリープ、胃リンパ腫、十二指腸潰瘍、十二指腸がん、小腸腫瘍などの診断に有用です。

上部消化管X線造影検査で何がわかるのか?
食道、胃、十二指腸の病気の発見と診断のために行なわれます。特に食道がん、胃がん、胃・十二指腸潰瘍の診断に欠かせない検査です。
日本は世界でも有数の胃がんの多発国ですが、この二重撮影法で集団検診を行なうようになって、胃がんが早期で発見できるようになり、胃がんによる死亡者を著しく減らすことができました。

上部消化管X線造影検査はどのような検査か?
検査着に着替え、唾液と胃液の分泌と、胃や腸の運動を止める筋肉注射をします。まず、透視台の前に立ち、一口バリウムを飲み 、撮影(食道造影)します。次に、少量の顆粒の薬(発泡散)をすばやく飲み、透視台を水平にしてうつ伏せになり、撮影(前壁造影)します。

次に、透視台を立てて、バリウムを300ml飲み、撮影(立位充満造影)します。再び透視台を水平にし、台の上で数回回転し、撮影(二重造影)します。最後に透視台を立てて、腹部を圧迫筒で圧迫した写真を撮って終了となります。
検査にかかる時間は約20分、10〜12枚撮ります。

検査を受けるときの注意

  • 検査前日の夜9時以降は飲食をしてはいけません。
  • 就寝前に服用している薬は少量の水で、飲んでもかまいません。
  • 検査当日も、飲食は禁止ですが、喉を潤す程度の少量の水は飲んでもかまいません。
  • たばこは胃液を分泌させるので、当日の朝から禁煙しましょう。
  • 検査の前は、なるべく唾を飲み込まないようにしましょう。
  • 胃の運動を止める注射は、緑内障や不整脈、前立腺肥大、薬物アレルギーのある人は受けられませんので、予め申告しておきましょう。
  • 検査後、水分を十分にとり、渡された下剤は必ず飲みましょう。バリウムのために便が固まって、肛門のヘリが切れたり(裂肛)、腸閉塞を起こすことがあります。
  • 注射後、最低2時間は車などの運転は控えましょう。

検査結果の判定
バリウムはX線を通さないので、胃や十二指腸は白く写ります。潰瘍やがんがあってくぼみがあると、そこにバリウムがたまって、さらに白く見えます。
逆にポリープやがんで出っ張りがあると、バリウムをはじいて黒く抜けて見え、横からは出っ張りが見られます。

異常があったらどうするか?
精密検査を受けるように指示があるはずですから、再度、X線検査を受けたり、内視鏡検査や生検をして、治療が必要かどうかをはっきりさせます。

異常な場合に疑われる病気
食道がん、食道潰瘍、食道静脈瘤、胃がん、胃炎、胃潰瘍、胃ポリープ、十二指腸潰瘍、十二指腸がんなど

上部消化管内視鏡検査とは?

上部消化管内視鏡検査は、一般に胃カメラといわれているもので、太さ1pくらいの管の先端にレンズや超小型テレビカメラのついた器具を口から挿入し、食道や胃、十二指腸の粘膜の状態を観察する検査です。
がん細胞らしき病変があれば、その場で病変の一部を採取したり(生検)、ブラシで病変を擦り取ったりします(擦過)。

胃カメラ

上部消化管内視鏡検査で何がわかるのか?
上部消化管X線検査で疑わしい影が見つかったときに、その部分を直接観察することで、確実な診断が下せます。がんが疑われるときには、内視鏡の先端の装置でその組織を採取し、生検を行なえば確実に診断できます。

食道、胃、十二指腸の静脈瘤や炎症、潰瘍などが見つかったときは、その性質や状態を観察し、治療方針を立てたり、治療効果を確かめる事ができます。
胃・十二指腸潰瘍で吐血した場合は、緊急に内視鏡検査を行ない、出血場所や状態を観察するとともに、止血処置を行なうこともあります。

上部消化管内視鏡検査はどのような検査か?
唾液や胃液の分泌と胃の運動を抑える薬を筋肉注射し、さらにのどに麻酔薬をスプレーします。横向きに寝てマウスピースをくわえ、内視鏡の管を挿入します。先端が喉を通るときに少し苦しく感じますが、あとはほとんど苦痛はありません。
胃を観察するために空気を挿入するので、ゲップをしたくなりますが、我慢してください。観察が終わったら静かに管を抜きますが、生検のために組織を採取したときは、止血剤を散布します。
検査時間は15〜20分、検査後15〜20分は横になって体を休めます。

検査を受けるときの注意

  • 検査前日の夜9時以降は飲食をしてはいけません。検査当日も同じく、飲食は禁止ですが、少量の水を飲む程度はかまいません。
  • 薬も服用してはいけません。
  • たばこは胃液を分泌させるので、検査当日は朝から禁煙しましょう。
  • 検査の前は、なるべく唾を飲み込まないようにしましょう。
  • 胃の運動を止める注射は、緑内障や不整脈、前立腺肥大、薬物アレルギーのある人は受けられませんので、予め申告しておきましょう。
  • 注射後、最低2時間は車などの運転は控えましょう。

検査結果の判定
胃がんには盛り上がりのできる隆起型と、くぼみのできる陥凹型とがあり、内視鏡で観察することである程度の診断はつきますが、確定診断は採取した組織を顕微鏡で調べる生検によって下されます。

炎症や潰瘍は観察することによって、その性質や広がり、出血部位などが分かり、治療方針を立てたり、治療効果を判定したりします。
静脈瘤は主に出血しやすいかどうかを観察し、出血しそうなときには治療を行なうことになります。

異常があったらどうするか?
がんが疑われる場合には生検の結果を待って、その治療方針に従います。炎症や潰瘍の場合はほぼ最終的な診断が下されますから、それに従って治療を受けます。

異常な場合に疑われる病気
食道がん、食道炎、食道潰瘍、胃がん、胃炎、胃・十二指腸潰瘍

ピロリ菌検査とは?

ピロリ菌はらせん状の形をしていて、胃の粘膜に住みついています。
胃の中に入ってきた最近は通常、胃酸によって殺菌されますが、ピロリ菌は持っている酵素によって、胃の中にある尿素をアンモニアに変え、アルカリ性のアンモニアで胃酸を中和して、胃酸の殺菌作用を逃れています。

ピロリ菌です

ピロリ菌は胃炎や胃・十二指腸潰瘍、胃がんの原因になるといわれています。
はっきりしているのは潰瘍の一因になることで、胃・十二指腸潰瘍を繰り返し再発する人に薬を投与してピロリ菌を退治すると、ほとんどの人は再発しなくなることが確認されています。
ただしピロリ菌が陽性でも潰瘍にならない人、陰性でも潰瘍になる人がいて、ピロリ菌だけが胃・十二指腸潰瘍の原因とはいえません。ストレス、暴飲暴食、喫煙、体質などのほかの因子も深く関係していると考えられています。

ピロリ菌検査で何がわかるのか?
胃・十二指腸潰瘍を繰り返して再発する人に、その原因としてピロリ菌が関与しているかどうかを調べます。陽性と出ればピロリ菌の関与が濃厚になります。
また、最近の研究では胃がんの発生との関連も注目されており、陽性の場合はさらに検査をすることが望ましいでしょう。ただし、日本人の場合はピロリ菌の陽性率がほかの国に比べて高いので、あまり有効ではないという意見も多く聞かれます。

ピロリ菌検査はどのような検査か?

  • 呼気検査…尿素の入ったカプセルを服用する前と、服用後10〜20分に、吐く息を採取してそこに含まれる二酸化炭素の量を調べます。ピロリ菌が尿素をアンモニアに変えるときに二酸化他炭素が発生するので、ピロリ菌がいれば呼気に含まれる二酸化炭素の量が増えます。
  • 血液検査…血液を採取して、そこにピロリ菌に対抗する抗体が含まれているかどうかを調べる検査です。
  • 内視鏡検査…内視鏡で潰瘍を調べるとともに、胃粘膜も採取してピロリ菌を培養し、調べます。また、菌を尿素培地に入れ、作られるアンモニアを調べる検査や、菌の遺伝子を調べる検査も行なわれます。

検査結果の判定

  • 呼気検査…カプセル服用後に、二酸化炭素が増えていれば陽性です。
  • 血液検査…ピロリ菌の抗体が検出されれば陽性です。
  • 内視鏡検査…培養した菌が増殖したコロニー(菌のかたまり)が確認されれば陽性です。

異常があったらどうするか?
胃・十二指腸潰瘍を繰り返し、ピロリ菌が陽性であれば、抗生物質による除菌治療を行ないます。
また、併せてペプシノーゲン検査を行なうと、慢性胃炎や萎縮性胃炎の進行が判別できます。
陽性が確認されれば、胃がんの発生との関与も考えられますので、上部消化管内視鏡検査バリウム検査を受ける場合もあります。

異常な場合に疑われる病気
胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がん、胃炎など

腹部超音波検査とは?

腹部超音波検査(腹部エコー)とは、人の耳に聞こえない高周波の音を使い、その反射を画像化して、腹部内臓器の病変部を観察、診断する検査です。
超音波は一定方向に強く直進する性質があり、体の中に発信すると、その中の臓器の形や組織の状態によって、超音波はさまざまな物理的変化を受けます。その変化エコーを受診して、腹部の各臓器を画像化します。副作用もなく、最も安全で手軽な検査といえます。

腹部エコーの画像

腹部超音波検査で何がわかるのか?
肝臓、胆嚢、膵臓、腎臓、脾臓の診断や腹水の診断に重要で、なかでも胆石、早期肝臓がんの発見に有用です。
C型肝炎ウイルスが原因となっている慢性肝炎は、肝硬変、肝臓がんに移行する可能性が高いので、定期的な検査で早期の変化を捉えるために、この検査が繁用されています。

腹部超音波検査はどのような検査か?
検査は超音波検査室で行ないます。腹部を十分に広く出すため、ズボンやスカートは腰の骨位まで下げます。
検査台に仰向けに寝て、両手を頭のほうに上げて、手枕をした姿勢をとります。
最初に、皮膚と音波を出す探触子(プローブ)との間に空気が入らないように、腹部にゼリーを塗ります。
次に、プローブを腹部にあて、音波の反射像を画面に出して検査を進めます。

検査のほとんどは仰向けで行ないますが、横向きや坐位になっても検査します。
検査時間は15〜20分で終了します。人体には全く影響がなく、苦痛もありません。

検査を受けるときの注意

  • 前日の夕食は普通ですが、当日の朝食は禁止です。
  • 糖尿病薬以外の常用薬は飲んでもかまいません。
  • 検査着に着替えずに行ないますので、ワンピースなどは避けて、腹部の出しやすい服装を選びましょう。
  • 便秘の人は、予め申し出ましょう。お腹にガスがたまっていると、画像が映りにくくなるため、前日に下剤、またはガスをとる消泡剤を服用することがあります。
  • 検査担当の医師が、腹式呼吸や深呼吸などを指示することがあるので、それに従いましょう。

検査結果の判定
胆石や臓器の腫瘍などがあれば、画像に浮かび上がります。
肝臓の腫瘍はうすい白い像となるので、この検査で比較的わかりやすく、肝臓がんや肝硬変の早期発見にもつながっています。

胆嚢内は胆汁があるため黒く映し出されますが、胆石があるとその部分が白く写り、さらにその後方に陰ができます。石があると、音波それに反射されて、その後方にエコーが伝わらない音響陰影という陰ができるからです。
しかしポリープの場合は白い像だけで音響陰影がないため、石で無いことがはっきり区別されます。

異常があったらどうするか?
詳しい血液検査や、腹部X線CT、組織の一部を採取しての生検、細胞診を行なったり、腫瘍マーカー検査などを行なったりします。

異常な場合に疑われる病気
肝臓がん、肝硬変、脂肪肝、胆石、胆嚢がん、慢性膵炎、すい臓がん、腹部大動脈瘤、腎臓がんなど

腹腔鏡検査とは?

腹腔鏡(ふくくうきょう)検査とは、腹部に小さな切開をおこない、そこから細い筒状の内視鏡を挿入して、腹部の臓器を直接観察したり、組織を採取して組織細胞診(生検)をおこないます。

腹腔鏡を挿入します

腹腔鏡検査で何がわかるのか?
肝臓、胆嚢、胆管、腹膜、卵巣、卵管などの臓器を直接観察して、確定診断の材料とします。また、疑わしい部分の組織を採取して、組織細胞診をおこない、がんなどの確定診断を下します。胆嚢や卵巣嚢腫などの摘出手術も行なわれます。

腹腔鏡検査はどのような検査か?
局所麻酔をして、腹部の毛をそり、消毒をし、針を刺して腹腔に空気を入れて膨らませた後、小さな切開を加えて、そこから腹腔鏡を挿入して、中を観察します。組織をとるときには、採取する装置を腹腔鏡を通じて挿入し、採取します。

検査結果の判定
観察だけならその場で分かりますが、組織細胞診は結果が出るまでには約1週間かかります。

異常な場合に疑われる病気
慢性肝炎、肝硬変、肝臓がん、胆嚢炎、胆嚢がん、脂肪肝、腹膜炎、卵巣嚢腫、卵巣がんなど

下部消化管X線検査とは?

下部消化管X線検査(注腸X線検査)とは、肛門から空気とともに造影剤のバリウムを注入し、下腹部をX線撮影して大腸を写し出し、病変を発見する検査です。

注腸X線検査

下部消化管X線検査で何がわかるのか?
大腸がんの症状は、血便や便通異常、腹痛などです。とくに血便は重要で、肉眼で分かる血便や、便潜血反応で初めて分かる見えない血便まであります。
これらの症状や便の変化で大腸がんが疑われた場合、はじめに行なわれるのがこの下部消化管X線検査です。食生活の欧米化などにともなって、日本でも大腸がんが増加しているため、ますます重要性の増す検査といえます。
大腸がんのほか、大腸ポリープ、クローン病、潰瘍性大腸炎、痔などがこの検査で診断できます。

下部消化管X線検査はどのような検査か?
検査前日は3食とも、「エンシュアリキッド」と呼ばれる特別なスープだけを飲み、夜には下剤を飲んで腸の中を空っぽの状態にします。当日の朝は、紅茶などはかまいませんが食べ物は厳禁です。

病院では検査着に着替えて、腸の運動を止めるために筋肉注射をします。検査台に体の左側を下にして横になり、バリウムを注入するための管を肛門から入れます。この際に麻酔薬が入ったゼリーを肛門に塗るので痛みはほとんどありません。そして、造影剤を300mlほど注入し空気を入れます。注入後は上向きになり、体を検査台に固定し、透視台を回転させながら写真を撮ります。
前腸から盲腸まで、全部で10〜15枚ほど撮影し、30分ほどで検査は終了となります。

検査結果の判定
バリウムはX線を通さないので、大腸は白っぽい像として写ります。大腸がんやポリープはバリウムをはじくので、黒っぽい影で分かります。
大腸がんが進行すると腸の内腔が狭くなりリンゴの芯のような形(アップル・コアサインといいます)が見られます。憩室は腸壁に白い出っ張りとして写ります。

異常があったらどうするか?
内視鏡検査や、組織を採取して調べる生検などを行なって診断を下すことになります。それらの精密検査を受け、診断の結果によって立てられた利用方針に従って治療を進めます。

異常な場合に疑われる病気
大腸がん、大腸ポリープ、潰瘍性大腸炎、クローン病、痔、大腸憩室など

下部消化管内視鏡検査とは?

下部消化管内視鏡検査とは、肛門から内視鏡を挿入し、大腸の粘膜に生じた病変を直接観察する検査です。同時に生検用の組織を採取したり、ポリープを切除したりすることもあります。

内視鏡でみる大腸の画像です

下部消化管内視鏡検査で何がわかるのか?
X線検査で大腸がんやポリープが疑われた部分を直接観察するとともに、生検のために組織を採取し、ポリープであればその場で切除します(ポリペクトミー)。潰瘍性大腸炎やクローン病の場合は、患部を直接観察して診断に役立てます。

下部消化管内視鏡検査はどのような検査か?
検査の前日の朝食から、3食とも、食べ物のかすが腸内に残らないような検査用の特別なスープを飲みます。
夜には下剤を飲んで腸の中をきれいにするため、夜中に何回かトイレにいく場合があります。夕食後は絶食となりますが、十分な水分補給は必要です。

検査当日は、朝から絶食します。病院で浣腸をしてもらい腸の中を空っぽの状態にしてから、検査着に着替えて、透視台の上に横になります。そして、腸の運動を一時的に止めるために注射をします。
肛門に麻酔剤の入った液体を塗り、内視鏡を肛門に挿入し、直腸、S状結腸、下行結腸、横行結腸、上行結腸、盲腸の順に大腸の粘膜の具合を詳しく観察していきます。
疑わしい場所は、生検のために組織を採取します。(検査時間はのべ40分程度です)

検査結果の判定
大腸がんは、粘膜にこぶ状の膨らみがみられ、出血をともなう場合があります。進行すると内腔が狭くなってしまいます。
ポリープの場合はいぼ状の茎のある突起がみられます。潰瘍性大腸炎は、粘膜に出血をともなう炎症が広がっていて、上皮のはがれたところに潰瘍がみられます。クローン病は大腸の粘膜に潰瘍が広がり、大腸壁に深い溝や穴がみられます。

異常があったらどうするか?
生検の結果、大腸がんがあることがわかれば、がんの大きさや広がりなどと合わせて検討し、治療方針が決められます。大腸ポリープはその場で切除することになりますが、繰り返し発生するので、年に一回は内視鏡検査を受けるようにします。
潰瘍性大腸炎やクローン病は、観察結果を参考にして治療方針が決められますので、それに従って治療を進めます。

異常な場合に疑われる病気
大腸がん、大腸ポリープ、潰瘍性大腸炎、クローン病など

前立腺針生検とは?

前立腺がんが疑われるときに行なわれます。前立腺を調べるには、肛門から指を挿入して触れる検査(直腸内触診)を行います。かたい、凹凸がある、圧痛があるなどで、前立腺がんの疑いが強い場合には、超音波検査やCT検査をおこないますが、更に確実に診断するために、前立腺に針を刺して疑わしい組織をとり、染色してがん細胞を調べる検査が行なわれます。これが前立腺針生検です。

組織を採取します

前立腺針生検はどのような検査か?
出血の心配があるので、入院して行なわれます。局所麻酔をして肛門ないしは会陰部から針を刺し、超音波画像を見ながら疑わしい場所に届かせ、組織を採取します。30分〜1時間くらいかかります。そのあと止血するまでの数時間は安静にします。

異常があったらどうするか?
がん細胞が見つかれば、摘出手術を行なうなど、治療を進めることになります。

異常な場合に疑われる病気
前立腺がん

直腸内触診とは?

直腸内触診(直腸診、直腸指診)とは、患者の肛門に医師が指を挿入して、肛門や直腸下部の病変を探る検査のことです。
また、泌尿器の一つである前立腺は、肛門の側から触れる事ができるので、その病気の発見や診断にも役立ちます。

直腸指診

直腸内触診で何がわかるのか?
大腸がんや大腸ポリープは、直腸のそれも下部にできることが多いため、見つけるのに簡便で有効な検査です。異常が見つかれば直ちに内視鏡検査をおこない、観察するとともに組織を採取して生検を行います。ポリープは切除します。
前立腺については、大きさ、方さ、表面の凹凸、圧痛などを調べ、前立腺がんの発見や診断に役立てます。

直腸内触診はどのような検査か?
診察台の上に横向きにひざを曲げて寝ます。口を軽く開き、肩の力を抜いて、排便するように軽くいきむと、肛門の筋肉が緩んで指が入りやすくなります。苦痛もほとんど無く、1〜2分で済みます。

検査結果の判定
指で探って、かたいものやふくらみにふれたら、大腸がんや大腸ポリープが疑われます。前立腺は大きくなっていたり、硬くなっていたり、凹凸があったら、前立腺肥大や前立腺がんの疑いがあります。

異常があったらどうするか?
内視鏡検査や組織検査を行なって診断を下し、治療の必要のあるものは治療を受けます。大腸ポリープは内視鏡検査と同時に摘除します。

異常な場合に疑われる病気
大腸がん、大腸ポリープ、前立腺肥大、前立腺がんなど

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