このサイトで解説しているがんの早見表です

一般に、悪性腫瘍のことを「がん」と呼んでいますが、病理学では粘膜や皮膚などの上皮細胞にできる悪性腫瘍を「がん」と呼び、皮下組織や筋肉、骨などの組織にできる悪性腫瘍を「肉腫」と呼んで区別しています。
このサイトでは双方を総称して「がん」というカテゴリーにまとめています。
以下のリストは、このカテゴリーで解説している"がん"の一覧です。
がんの名称(青い色のリンク)をクリックしていただければ、詳細ページに移動します。

ひと口にがんといっても種類はさまざまです
  1. 甲状腺がん…乳頭がん、濾胞がん、未分化がん、髄様がんの4つのタイプがあります。
  2. 舌がん…舌の側縁から口腔底(舌と歯ぐきの間)にかけて多く発生するがんです。
  3. 喉頭がん…喉頭(こうとう)がんとは声帯およびその周辺に発生する悪性腫瘍のことです。
  4. 肺がん…近年急速に増え続け、男女合計で胃がんを抜いて、現在第1位を占めています。
  5. 胸腺腫…胸骨の裏に位置する胸腺という小さな臓器に腫瘍ができるものです。
  6. 食道がん…食道粘膜に発生する悪性腫瘍です。好発部位は食道の中部・下部です。
  7. 胃がん…胃粘膜から発生する悪性腫瘍です。胃壁で繊維化するスキルスがんも注意。
  8. 胆道がん…胆汁の通り道である胆道のがんです。死亡者数はこの20年間で約2倍。
  9. 肝臓がん…肝細胞から発生する悪性腫瘍です。早期発見が可能となり、治療法も多様化。
  10. すい臓がん…すい臓に発生する悪性の腫瘍です。発生数および死亡数ともに増加傾向。
  11. 大腸がん…大腸の粘膜から発生する悪性腫瘍です。食生活が発症に大きく関与。
  12. 腎臓がん…腎臓の実質にできる「腎細胞がん」を指します。進行はおだやか。
  13. 腎盂尿管がん…腎盂、尿管の内側の移行上皮という粘膜から発生するがんです。
  14. 前立腺がん…尿道を取り巻くような位置にある前立腺に発生する悪性腫瘍です。
  15. 膀胱がん…膀胱の粘膜から発生する悪性の腫瘍で、泌尿器の中では最も多いがんです。
  16. 精巣腫瘍…精巣細胞という精子の元になる細胞ががん化して発生するケースが大半です。
  17. 乳がん…乳房の外側上方にできやすく、初期にはしこりやひきつれができます。
  18. 子宮がん…子宮内腔に発生する悪性腫瘍のことです。その8割は子宮頸がんです。
  19. 絨毛がん…胎盤の絨毛細胞ががんになるもので、子宮に発生するがんでは最も悪性です。
  20. 卵巣がん…かなり進行するまで自覚症状が無く、早期発見の難しいがんの一つです。
  21. 卵管がん…卵管に発生する非常に稀ながんで、女性性器がんのわずか1%程度です。
  22. 膣がん…膣に発生する稀ながんで、扁平上皮細胞がんと腺がんの2種類があります。
  23. 外陰がん…大陰唇、小陰唇、会陰、陰核などの外陰部に発生するがんです。
  24. 皮膚がん…代表的なものは、有棘細胞、基底細胞、悪性黒色腫(メラノーマ)です。
  25. 悪性リンパ腫…白血球の一部であるリンパ球ががん化する病気です。
  26. 脳腫瘍…頭蓋骨内に発生する腫瘍の総称です。良性のものが多く、摘出すると完治します。
  27. 白血病…血液のがんと呼ばれ、骨髄で作られる白血球が悪性細胞になります。
  28. 多発性骨髄腫…免疫の抗体をつくっている骨髄の形質細胞にできる腫瘍です。
  29. 軟部肉腫…筋肉、脂肪、神経、血管などの軟部組織にできる腫瘍です。
  30. 眼のがん…代表的なものは、目瞼がん、ぶどう膜メラノーマ、網膜芽細胞腫です。
  31. 鼻腔・副鼻腔がん…上顎洞にできる上顎洞がんが、90%を占めています。
  32. 耳の悪性腫瘍…外耳、中耳などに発生しますが、稀にしかみられません。

甲状腺がんとは?

甲状腺は、喉仏(のどぼとけ)の下にある臓器で、甲状腺ホルモンを分泌しています。
甲状腺がんの患者数は意外と多く、1000人に1人の割合で発症します。
女性が圧倒的に多く、男性の約5倍にもなります。
甲状腺にできるがんには乳頭がん、濾胞がん、未分化がん、髄様がんの4つのタイプがあり、それぞれ性質が異なります。

甲状腺がん

乳頭がんは、甲状腺がんの90%を占めており、40〜50歳代と、比較的若い人に多く発症します。進行はゆっくりで離れた臓器に転移することは稀ながんです。しかし、甲状腺内で多発したり、その場所で大きくなる性質があるため、食道や気管まで広がったり、周辺のリンパ節に転移することはあります。

濾胞がんは、乳頭がんに次いで多く、40〜50歳代に多く見られます。性質はおだやかですが、肺や骨に転移しやすいのが特徴です。乳頭がんも濾胞がんも、高齢で発症するほど、悪性度が高くなる傾向があります。

未分化がんの多くは、乳頭がんや濾胞がんの性質が、長年の間に変化したものと考えられています。甲状腺がん全体で見ると非常に少ないですが、進行が速いのが特徴です。

髄様がんはカルシトニンという、カルシウムの代謝に関わるホルモンを分泌する傍濾胞細胞(C細胞)ががん化して起こります。髄様がんの30%程度が遺伝的体質によるもので、その場合には副甲状腺腫瘍や副腎の褐色細胞腫を合併したりします。

甲状腺がんの症状と経過
甲状腺がんは、初期にはほとんど症状はありません。がんが大きくなると、声帯運動をつかさどる反回神経を障害しやすく、声がかれることがあります。
気道や食道にまでがんが入り込むと、血痰や呼吸困難なども現れます。また、喉に硬いしこりを感じたり、首のリンパ節の腫れで異常に気付く人もいます。
未分化がんの場合、進行すると熱が出たり、痛みが生じることもあります。
なお、甲状腺にがんがあっても、甲状腺ホルモンの分泌異状による症状が現れることは通常ありません。

行なわれる検査と判定

  • 触診
  • 甲状腺超音波検査
  • 穿刺細胞診
  • X線検査
  • CT検査
  • MRI検査
  • シンチグラフィー
  • 腫瘍マーカー(CEA 髄様がんの場合のみ)

甲状腺がんの判定のポイント
触診で、腫瘍の有無や形、数などがある程度わかります。しかし、触診だけでは、がんと良性腫瘍の区別が十分につきませんので、超音波検査が必要となります。
超音波検査は甲状腺がんを調べる際には欠かせない検査で、腫瘍の性状もわかるので、がんかどうかのおおよそ目安がつきます。また大きさが3mm程度の微小がんも見つけることができます。

最終的な診断は穿刺細胞診によって確定します。小さな腫瘤では、超音波で針と腫瘍の位置を確認しながら、甲状腺に直接針を刺して組織を採取し、顕微鏡で調べます。外来診療ででき、麻酔も不必要な簡単な検査で、がんのタイプまで判断できます。

腫瘍が大きかったり、未分化がんの場合は、X線検査やCT検査、MRI検査シンチグラフィーなどで、がんの広がりや転移の有無について、調べる場合もあります。

舌がんとは?

舌がんは、舌の側縁から口腔底(舌と歯ぐきの間)にかけて多く発生するがんです。がん全体の割合からみると、頭頚部にできるがんは、その5%しか占めておらず、若い人には非常に稀ですが、舌がんだけは10歳代から70歳代のお年寄りまで、全ての年代で幅広く見られます。

舌がんの画像です

舌がんの原因としては喫煙、飲酒が関係しているといわれますが、歯並びの悪い歯、金歯、合わない入れ歯などが舌を刺激するなどの慢性的な刺激がより強い危険因子になると考えられています。
また、刺激の強い香辛料、酸味・アルカリ分の強いもの、高塩分の食品も、口腔内の粘膜を傷つける可能性があり、舌がんの原因となることがあります。

舌がんの症状と経過
舌がんは、病変に潰瘍ができるため、冷たい食べ物や辛いもの、酸味のあるものを食べると、しみることがあります。また、病変に歯や硬い食べ物が当たると、強い痛みを感じます。出血を伴ったり、口臭が強くなったりすることもあります。さらに進行すると、舌の動きが悪くなり、言語障害や摂食障害が起こるようになります。

行なわれる検査と判定

  • 視診・触診
  • 生検
  • MRI検査
  • CT検査

舌がんの判定のポイント
舌がんの診断は、専門医が視診で歯の当たりやすい側縁部や舌の裏側をよく観察して、できもの有無、表面がただれていないか、変色はないかなどを調べた後に、触診でしこりを調べれば、ほとんど診断がつきます。
確定診断には、組織の一部を切り取って組織検査を行います。
それでがん細胞が発見され、舌がんと診断がつけば、病変の根の深さや広がりの程度を正確に診断するために、CTやMRIなどの画像検査を行い、治療方針を検討します。

舌がんの治療の基本は、切除手術となります。首の周囲のリンパ節に転移が見られる場合は、リンパ節も一緒に切除します。現在は技術向上により、切除範囲をかなり小さくして、舌の機能を温存できるようになっています。通常は1〜2ヶ月入院して行なわれますが、2cm以下の小さながんでは外来でできる場合もあります。
また、がんが小さくてリンパ節転移のない早期では、放射線療法も可能です。

喉頭がんとは?

喉頭がんは声帯およびその周辺に発生する悪性腫瘍のことです。
喉頭は、いわゆる喉仏(のどぼとけ)に位置する器官です。気管へ通じる空気の通り道(気道)であり、声帯(声門)を振動させて声を出したり、食べ物が気管に入らないよう防ぐ機能をもっています。

喉頭がんの画像です

喉頭がんは、声帯から上にできる声門上がん、声帯にできる声門がん、声帯より下にできる声門下がんの3つに分けられます。
喉頭がんの65%が、声門がんです。このがんは、リンパ節転移は極めて稀なおとなしいがんです。
30%が、リンパ節転移の多い声門上がんで、声門下がんは5%未満にすぎません。

喉頭がんの発生男女比率は10:1と大きな差が見られますが、最近は女性にも増えてきています。
大声でよく喋る人、都会に住んでいる人、ヘビースモーカーなどがかかりやすいことから、遺伝的な要因の他、喫煙、大気汚染、声帯の使いすぎなどが原因と考えられています。

喉頭がんの症状と経過
がんの種類によって、現れる症状はそれぞれ異なります。
最も多い声門がんでは、がんが声帯にできるので、声がかすれます。2〜3mmの小さながんでも、声のかすれが現れます。進行すると、呼吸困難や血痰などの症状も出てきます。

声門上がんの場合、進行して声帯に広がるまでは、声に異常は現れません。
初期の症状としては、針が刺さったような痛みや、血痰などが挙げられます。
声門下がんは、進行するまで無症状です。

声のかすれは、日常よく起こる症状ですが、2〜3週間治らなかったり、悪化するようであれば注意が必要です。ポリープの可能性もありますが、早めに耳鼻咽喉科を受診して、原因を確認しましょう。

行なわれる検査と判定

  • 喉頭X線検査
  • 頚部CT検査
  • MRI検査
  • 喀痰検査
  • 喉頭細胞・組織検査
  • 喉頭鏡検査
  • 腫瘍マーカー(SCCほか)

喉頭がんの判定のポイント
診察時に上記の症状がみられ、喉頭がんが疑われれば、喀痰検査をします。
また、喉頭鏡検査で粘膜の隆起や発赤が認められれば、病変部の細胞や組織の一部を採取する細胞検査や組織検査を行なって診断します。
さらに頚部のCT検査、MRIでがんの浸潤の程度を確認します。

肺がんとは?

肺がんには大きく分けて、肺の奥のほうにできる末梢形がん(腺がんなど)と、肺の中心部(肺門部)や気管支の太い部分にできる肺門型がん(扁平上皮がんなど)があり、日本人の最も多いのは腺がんです。

円で囲んだ部分が肺がんです

日本ではかつて、胃がんに次いで多いがんでしたが、近年急速に増え続け、男女合計で胃がんを抜いて、現在第1位を占めています。40歳代から増え始め、50歳代、60歳代で最も多くなっています。
誘因としてはタバコが第一に挙げられ、1日40本吸う人は、すわない人の約5倍の死亡率になっています。このほか、放射性物質、砒素、最近社会問題化している石綿(アスベスト)、クローム、ニッケルなども誘因になると考えられています。

肺がんの症状と経過
肺がんが治りにくい背景には、早期には症状が起きにくく、発見されにくいという特徴があげられます。また、肺門部にできるがんに比べ、肺野部(抹消部)のがんは、さらに症状が起こりにくいので厄介です。

最初に気付く症状は、咳や痰、血痰です。特に、一日にたばこを30本以上吸う人で、血痰が出た場合は危険信号ですので、早急に受診してください。そのほか、呼吸困難、胸の痛み、発熱などもみられます。
がんが進行すると、声がかれることもあります。声帯を動かす神経は肺のそばを通っており、がんがその神経を障害することがあるためです。
また、大きくなったがんが食道を圧迫すると、食べ物や飲み物が喉につかえるようになります。

肺がんの早期の症状の多くは、風邪などでも起こる症状で、肺がんに特徴的というわけではありません。症状から肺がんを早くに発見することは困難ですので、ヘビースモーカーの方は特に、定期的な検査が重要となっています。

行なわれる検査と判定

  • 胸部X線検査
  • 肺CT検査
  • SPECT、PET
  • 肺機能検査
  • 喀たん検査
  • MRI
  • 気管支内視鏡検査
  • 腫瘍マーカー(CEA、TPA、SCC、SLX、NSEほか)
  • 気管支造影検査
  • 肺の組織検査

肺がんの判定のポイント
比較的早期に血たんが現れますので、血たんがあれば、まず胸部X線検査と、たんの中のがん細胞を探る喀痰検査が行なわれます。
さらに、がんが疑われれば、細い管を気管支内に入れて直接観察する気管支内視鏡検査をおこない、病変部の組織片を採取する組織検査によって確定診断します。
また、腫瘍マーカー(CEA、TPA、SCC、SLX、NSEなど)と呼ばれるがん細胞が産生する血液中の物質を測定し、それも診断の参考にします。

胸腺腫とは?

胸腺腫とは、胸骨の裏に位置する胸腺という小さな臓器に腫瘍ができるものです。
腫瘍ができる原因はよくわかっていません。胸腺は免疫系の中心的な器官であることから、免疫異常と関わっているのではないかと考えられています。胸腺腫より悪性度の高いものもあり、これを胸腺がんと呼んで区別しています。

胸部CTでみた胸腺種の画像です

胸腺腫の症状
長引く咳や、胸痛、顔面や頚部のうっ血が代表的な症状です。これらの症状は、腫瘍が大きくなって周囲の臓器を圧迫したり、浸潤して破壊するためにおこります。
しかし、腫瘍があっても無症状のことが多く、健康診断などで胸部X線検査を受けて偶然に発見される場合もあります。

また、患者の約30%は重症筋無力症という病気を合併します。重症筋無力症は体の筋肉を動かしていると疲れてしまう病気で、主な症状には、眼瞼下垂、食事の困難(ものを飲み下せない)、顔の筋肉のこわばり、字が書けないなどの症状があります。
筋肉を動かしていると症状がでますが、休むと回復します。夕方に症状が強いのが特徴です。

行なわれる検査と判定

  • 胸部X線検査
  • 胸部CT検査
  • 胸部MRI検査
  • PET検査

胸腺腫の判定のポイント
胸部X線検査、胸部CT検査、胸部MRI検査を行なって、胸腺腫の状態、位置、周囲との関係を評価します。PET検査も行われます。さらに、合併症として起こる重症筋無力症との関連で、採血をして抗アセチルコリン受容体抗体検査を行います。

また、胸腺腫の診断を確定するためには、腫瘍組織の一部を採取して、顕微鏡でその組織を観察する病理組織検査が必要となります。通常、X線の透視下に皮膚から細い針を刺して、検体を採取します。

胸腺腫の治療
通常は、胸腺とともにリンパ節や周囲の脂肪組織を切除する手術を行ないますが、臓器への浸潤が著しい、あるいは胸腔や心膜腔へ播腫している場合には、腫瘍の完全除去ができない場合があります。この場合は、抗悪性腫瘍薬や放射線療法が併用されます。

食道がんとは?

食道粘膜に発生する悪性腫瘍で、好発部位は食道の中部・下部です。60歳以上の男性に発生するケースが多く(男女比は5:1)、喫煙や飲酒、熱い食事などの習慣が危険因子となります。
特に、アルコールとたばこの両方を嗜む人は、食道がんにかかる危険性が著しく高くなります(最近の研究では非喫煙・飲酒の人に比べて10倍)。
50歳以上で、飲酒や喫煙の習慣がある人は、自覚症状に気をつけるほか、定期的な検診を受けることが大切です。

食道がんの画像です

食道がんの症状と経過
食道がんは、ごく初期には、ほとんど症状はありません。
自覚症状で最初にあらわれるのは、喉の違和感です。例えば、食べ物を飲み込んだときに、食道の奥にチクチクした痛みを感じたり、熱いものを飲んだときにしみるようになります。

がんが進行するとと、食道が塞がれて狭くなるため、食べ物が喉につかえるようになります。
最初は、大きな食べ物を飲み込んだときに、喉につかえを感じますが、小さなものを食べても、だんだんつかえるようになります。

さらにがんが進行すると、食道が完全に塞がり、食べ物はもちろん、飲み物や唾液さえも飲み込めなくなります。こうなると、食事ができないために体重が減ったり、がんで肺や背中などが圧迫されて、胸や背中に痛みを感じるようになります。
がんが肺や気管支に広がったときには、咳や痰が出ます。食道のそばにある、声を調整する神経が侵されると、声がかすれることもあります。
なお、胃の内視鏡検査の際に、偶然食道がんが発見されることもあります。

行なわれる検査と判定

  • 胸部X線検査
  • 食道・胃X線検査
  • 食道内視鏡検査
  • 超音波内視鏡検査
  • 食道組織検査
  • 胸腹部CT検査

食道がんの判定のポイント
食道X線検査内視鏡検査、組織検査によって診断が確定します。病巣が表面にある表在がんが、食道壁に深く入り込んだ進行がんが、またがんの広がりの程度により治療方針が異なります。
リンパ節や他の臓器への転移の有無によっても治療と予後が異なります。

胃がんとは?

胃がんとは胃粘膜から発生する悪性腫瘍です。
がん細胞外壁の粘膜下層までで止まっているものを早期がんといい、それよりさらに浸潤したものを進行がんといいます。
最近では、集団検診や人間ドックの普及で、胃がんの早期発見、治療が可能となり治癒率も早期がんでは95%以上の好成績をおさめています。

早期胃がんの画像です

また、胃がんは胃の内腔に突き出る場合が多いのですが、まれに胃壁をはうように広がり、高度に繊維化するスキルスがんがあり、若い女性に多くみられます。この場合、早期発見が難しく、発見された時は手遅れということもあります。

胃がんの症状と経過
早期がんでは自覚症状がほとんど出ないため、多く場合、集団検診や人間ドックで偶然発見されます。
胃がんの中には潰瘍をともない、そのために症状が現れることもあります。その際、腫瘍は治療によって通常の良性腫瘍と同様に瘢痕化し、一見治癒したように見えますが、がん細胞はそのまま残存し、発症することもあります。

さらに進行がんになると、胃の痛みや胃の張った感じのほか、食欲不振、体重減少、貧血の症状が見られるようになります。病巣から出血し、タール便や黒色便と呼ばれる黒ずんだ便や吐血を見ることもあります。

行なわれる検査と判定

  • 胃X線検査
  • 胃内視鏡検査
  • 腫瘍マーカー(CEAほか)
  • ペプシノーゲンT/U比
  • 胃組織検査
  • 胃細胞検査
  • 腹部X線検査
  • 腹部CT検査
  • 上腹部超音波検査

胃がんの判定のポイント
胃がんの確定診断は、内視鏡検査で病変部を直接観察するとともに、組織の一部を採取して調べる組織検査によってなされます。
これらの検査結果から、病巣が胃壁の表面に存在するのか、あるいは胃壁深く浸潤しているのかといったがんの進展度や病巣の大きさ、更に組織型、転移の有無を調べることによって、早期がんと進行がんに区別され、治療方針が決定されます。

最近では、内視鏡技術の進歩に伴って直径5mm程度の小さながんも発見されるようになりました。
こうした小さながんは、粘膜の表面にある場合は、内視鏡によって切除されることもあります。
日本の胃がんの検査法は、胃エックス線検査にしても、内視鏡検査にしても、国内で開発されたもので、その診断技術は、世界のトップレベルにあります。

胆道がんとは?

胆道がんとは胆汁の通り道である胆道のがんで、総肝胆や肝内胆管、総胆管に発生する胆管がんと、胆のうに発生する胆のうがんとがあります。
がん全体に占める割合は少ないですが、死亡者数はこの20年間で約2.0倍になっており、明らかな増加傾向にあります。理由としては、検査技術が進歩し、胆道がんの診断がつきやすくなった事がありますが、社会の高齢化も関係していると考えられています。

胆道がんは診断・治療ともに難しいがんのひとつですが、早期に見つかった場合の治癒率は徐々にではありますが、近年向上しています。

胆道がんの症状と経過
胆のうがんは、早期では特別な症状はなく、進行すると上腹部痛が、更に進むと黄疸、体重減少などが現れます。
ただ、胆のうがんで胆石を合併している人は、胆石が動いたときに、強い上腹部痛が起こったり、炎症を起こして発熱などの症状が現れる場合があります。

胆肝がんでは、がん特有の症状が現れるのは、がんがかなり進行してからです。
がんが大きくなって胆管が詰まったりすると、次のような症状が出てきます。

黄疸
がんが大きくなって胆管が詰まると、胆汁が十二指腸に流れなくなります。すると、胆汁の色素成分であるビリルビンが血液中に増加して、白目をはじめ、全身が黄色くなる症状が出ます。

白色便
胆汁中のビリルビンは黄色の色素ですが、腸内で食べ物と混ざると、茶色の便となって体外へ排出されます。ところが、がんによって胆管が閉塞し、十二指腸へ胆汁が流れないと、便にビリルビンが混ざらなくなるため、便が白くなります。

赤茶色の尿
十二指腸に流れない胆汁中のビリルビンは、血液に吸収されて、尿の中に排出されます。
そのため、尿にビリルビンが混ざって、赤茶色の尿が出るようになります。

強いかゆみ
黄疸が出ると、皮膚に激しいかゆみをともなうことがあります

行なわれる検査と判定

  • 胆管・胆のう造影検査
  • 腹部CT検査
  • 腹部超音波検査
  • 胆のう・胆道RI検査
  • PET
  • MRCP
  • 腫瘍マーカー(CA19-9)
  • 血液生化学検査(肝機能検査…GOT・GPT、LAP、γ-GTP、ALP)

胆道がんの判定のポイント
腫瘍マーカーCA19-9が異常値を示した場合は胆道がんの可能性があります。
進行期に症状が現れるため、早期発見は困難ですが、胆道系酵素のARP、γ-GTPLAPなどの値が早期に上昇します。そのため、血液検査などで異常が発見されると、腹部超音波検査、CT検査、ERCPなどの精密検査によって確定診断が行なわれます。

大腸がんとは?

大腸がんとは大腸の粘膜から発生する悪性腫瘍で、胃がんと同じように大腸壁への浸潤の深さにより、粘膜表面の早期がんと、深部に浸潤した進行がんとに分けられます。
発生頻度の高いのは、ポリープががん化したポリープがんです。ポリープがんは、検診や人間ドックで偶然発見されることが多く、近年、日本では発生頻度が増加しています。これは、食習慣の欧米化に伴い、高脂肪食や低繊維食の摂取量の増加による影響と考えられています。
さらに最近では種々のがん遺伝子の関与も明らかにされてきています。

注腸X線検査による画像です

大腸がんの症状と経過
がんがある程度大きくなると、がんから出血が起きたり、がんによって大腸の内腔が狭くなることによって、血便や排便異常などの症状が現れます。

血便は、がんから出血した血液が便に混じることで起こり、がんができた部位が肛門に近いほど、はっきりした真っ赤な血液がついた便になります。
がんが肛門から少し離れたS状結腸にできた場合は、血液が変色して黒っぽくなります。また、血液と粘膜が便に付着した粘血便となることもあります。
このような血便の症状は、痔による出血と勘違いして、発見が遅れることもあります。血便があった場合には、医療機関できちんと検査を受けましょう。

肛門から遠く離れた上行結腸などにできたがんでは、たとえ出血があっても、血液が便に混じってしまい、肉眼ではわからないことも少なくありません。
そのため、がんがかなり進行して、腹部にしこりができたり、がんからの出血が続くことで貧血になり、動機、息切れなどの症状が現れてから、発見されることもあります。

また、大腸の内腔ががんで狭くなった場合には、便が細くなったり、排便後に残便感があるといった症状が出やすくなります。便の通りが悪くなることによって、腹痛が引き起こされることもあります。
こうした排便異常や腹痛も、がんや肛門に近い部位にできている場合に現れやすい症状です。
肛門から遠い部位では、通過する内容物がまだ水分を多く含んでいて、どろどろの状態なので、たとえ内腔が狭くなっても通過できます。そのため、これらの症状はあまり出てきません。

このように、がんのできる部位によっては、症状が出ないこともあります。
大腸がんの早期発見のためには、定期的な検査を受けることが大切になります。

行なわれる検査と判定

  • 大腸X線検査
  • 大腸内視鏡検査
  • PET
  • 便潜血反応
  • 腫瘍マーカー(CEA)
  • 大腸組織検査
  • 胸部X線検査
  • 腹部X線検査
  • 腹部CT検査
  • 腹部超音波検査

大腸がんの判定のポイント
腫瘍マーカーCEAが高値を示した場合は大腸がんが疑われます。症状が無くても、便潜血反応が陽性の場合には注腸X線検査大腸内視鏡検査が行なわれます。
ポリープがあれば、内視鏡でポリープ全体または一部を採取する組織検査が行なわれ、良性か、悪性かが診断されます。
また、直腸診といって、肛門から直腸に指を挿入して腫瘍の有無を調べる検査もあります。
肛門の近くはがんの好発部位ですので、重要な検査法となっています。

肝臓がん(肝細胞がん)とは?

肝臓がん(肝細胞がん)とは肝細胞から発生する悪性腫瘍で、正常な肝臓に発生することは少なく、大半は慢性肝疾患や肝硬変などがもとになって発症します。
最近は小さながんの発見が可能になり、治療法も手術以外に、肝がんへ通じる動脈をふさぐ肝動脈塞栓術、病巣にアルコールを注入するアルコール局注入療法なども行なわれます。

黒っぽい部分が肝臓がんです

肝臓がんの症状と経過
肝臓がんに特有の症状というものはなく、がんが発病しても、現れるのは主に肝硬変の症状です。
肝硬変とは、肝炎ウイルスによる肝細胞の破壊が進み、肝臓全体が萎縮して肝機能が低下した状態をいいます。

肝硬変によって、代謝や解毒などの肝機能が低下してくると、食欲不振、全身倦怠感などの症状が出てきます。
肝機能の低下がさらに進むと、血管やリンパ管から漏れ出した液体成分がお腹にたまったり(腹水)、手や顔、眼球の白目部分が黄色く見えたりします(黄疸)。
さらに、肝臓の血流が悪くなると、肝臓に送られるはずの血液が、食道や胃の静脈に大量に流れ込むため、静脈がこぶ上に膨らみます。これを静脈瘤といいます。
また、肝臓でせき止められた血液は、脾臓にも流れ込み、赤血球が壊されるため、めまいや冷や汗、脱力感といった貧血の症状が出ることもあります。

肝臓には、肝動脈と門脈の2つの血管を通って、血液が運び込まれます。
このうち、門脈ががんで詰まると、小腸や大腸などの消化管に血液がうっ滞してしまいます。
その結果、消化管がむくんで下痢が続くことがあります。また、がんが突然破裂して出血し、腹痛を起こすこともあります。
がんがかなり進行すると、みぞおちの上から、しこりに触れることもあります。

ただ、肝臓がんにしても肝硬変にしても、かなり進行してから出ないと症状が現れません。
したがって、肝臓がんが発生する危険性の高い人(ウイルス性肝炎の人)は、定期的に検査を受けて肝臓の状態を調べることが大切です。

行なわれる検査と判定

  • 腹部血管造影検査
  • RI検査(肝シンチグラフィー)
  • 内視鏡的逆行性胆管膵管造影法(ERCP)
  • 腹部CT検査
  • MRI検査
  • 腹部超音波検査
  • SPECT、PET
  • 血液生化学検査(肝機能検査)
  • 腫瘍マーカー(AFP、PIVKA-U)
  • 肝組織検査
  • 腹腔鏡検査

肝臓がんの判定のポイント
腹部CT検査、腹部超音波検査、腹部血管造影検査、腫瘍マーカーAFPによって、ほぼ判定することができますが、腹腔鏡で組織の一部を採取して顕微鏡で調べる肝組織検査によって、確定診断が行なわれます。

すい臓がんとは?

すい臓がんとは膵臓(すいぞう)に発生する悪性の腫瘍です。
膵臓は、腹部の奥にあるため早期発見が難しいうえ、近接する臓器に早期に浸潤するため、多くの場合は手術が困難です。
近年、発生数および死亡数ともに増加傾向にありますが、これは画像診断によって発見される機会、確率が上がってきているという側面も示しています。

腹部CTでみる膵臓がんの様子

すい臓がんの症状と経過
膵臓は頭部、体部、尾部にわけられ、発生部位によって多少症状が異なりますが、背部痛、上腹部痛、食欲低下、体重減少が一般的です。しかし、これらはすい臓がんでなくても現れる症状なので、これらの症状が出ているからといって、即、すい臓がんの発見に結びつくわけではありません。

がんのできた部位によっては、黄疸が出ることがあります。
膵臓の中を網の目のように走る膵管は、膵臓の中心を通る主膵管に繋がっています。そして、主膵管は、膵臓の頭部で胆管と合流して十二指腸に共通の出口(十二指腸乳頭)をもっています。
そのため、膵臓の頭部にがんができた場合は、胆管が閉塞して、胆汁の流れが妨げられる場合があります。このような状態になると、胆汁に含まれている色素が血液の中に入り、皮膚や白目が黄色くなるという黄疸の症状が現れます。
すい臓がんは早期発見が難しいがんですが、黄疸が出ることで早めに発見されることもあります。

行なわれる検査と判定

  • 腹部血管造影検査
  • MRCP
  • 内視鏡的逆行性胆管膵管造影法(ERCP)
  • CT検査
  • MRI検査
  • 腹部超音波検査
  • SPECT、PET
  • 血液生化学検査(ACP)
  • 腫瘍マーカー(CEA、CA19-9)

すい臓がんの判定のポイント
初期には症状が少ないため、腹部のCT検査、超音波検査によってしか発見ができません。
症状のある場合は進行がんのことが多く、手術も不可能の場合があります。
慢性膵炎と区別しにくい場合はCT検査、ERCP、膵管組織検査、血管造影検査が必要となります。
また、すい臓がんの診断にはCA19-9という腫瘍マーカーがよく使われます。
すい臓がんがある場合には高い数値になることが多いのですが、他の病気でも数値の上昇がみられることがあります。そのため、上記のほかの検査と組み合わせて確認する必要があります。

腎臓がんとは?

腎臓は、血液を濾過して、体内で不要になった水分や物質を、尿として排出する臓器です。一般に「腎臓がん」という場合は、腎臓の実質にできる「腎細胞がん」を指し、腎盂や尿管にできる「腎盂・尿肝がん」と区別しています。
腎臓がんの多くは進行のスピードが比較的にゆっくりなので、がんがあっても症状が出ることは少なく、その意味でがんと共存して過ごせるケースも少なくありません。腎臓がんは、血管内に進展する性質があり、時には下大静脈や心臓にまで達します。

腎臓がん

腎臓は、血液を濾過する臓器ですので、多くの血液が集まってきます。そのため、がん細胞が血流に乗って、全身に運ばれやすくなっており、肺や肝臓、骨などに移転しやすいという特徴があります。
一般的にがんは、治療後5年を過ぎれば、再発の危険性が少なくなり、治癒と判定されます。
しかし、腎臓がんは進展速度が遅いために、治療後、早い時期に転移がんが見つかるとは限りません。手術でがんを完全に切除したと思われても、10年後に再発が見られる場合もあります。
この点が、腎臓がんの治療の問題となっています。

腎臓がんの症状と経過
以前は、血尿、腹部のしこり、疼痛が腎臓がんの典型的な症状と言われていましたが、これらの症状は、ある程度がんが進行してから見られるものです。
画像診断の技術が大幅に向上した今日では、無症状で偶然見つかる腎臓がんが、全体の5割以上を占めています。

自覚症状としては、食欲不振、微熱、貧血、体重減少などが現れる場合があります。がん細胞があると、体がそれを異物とみなして排除しようとする免疫反応が起きます。その結果現れるのが、食欲不振、微熱などの症状です。
貧血や体重減少は、がんが産生する物質の影響や、がん細胞に栄養分をとられるために起こります。しかし、これらの症状は腎臓がんに限らず、他の病気でもみられるため、自覚症状だけでは腎臓がんの発見は困難です。早期発見のためには、定期的に検診で腹部超音波検査を受けることが大切です。

行なわれる検査と判定

  • 腹部超音波検査
  • MRI検査
  • CT検査
  • 肺X線検査(以下の検査では転移病巣を調べます)
  • 肺CT検査
  • 骨シンチグラフィー
  • 血管造影検査

腎臓がんの判定のポイント
腎臓がんの発見に有効な腫瘍マーカーはありませんので、診断は画像検査が中心となります。身体的な負担が少なく、簡便な検査法のため、まず腹部超音波検査が、スクリーニングとして行なわれます。この超音波検査でがんが疑われた場合、CT検査、またはMRI検査で確定診断を行なうというのが標準的な診断法です。

また、腎臓がんは、転移が多いので、転移のチェックも行なわれます。肺の検査にはX線検査、肺CT検査が行なわれます。骨への転移は、骨と反応する放射性医薬品を体内に注入して撮影する骨シンチグラフィーで診断します。
このほか、血管内に細い管を通して、造影剤を使って撮影する血管造影検査が尾紺割れる場合もあります。

腎臓がんが見つかった場合の治療は手術療法が中心となります。手術方法は、がんのある腎臓全てと、腎臓の上部にある副腎や腎臓周囲の脂肪などを取り除く根治的摘出手術と、片方の腎臓(腎臓は左右にあるので、もう一方の腎臓が正常ならば機能的には問題ありません)だけを摘出する患側腎温存手術(腎部分切除術)の2種類があります。
がんが多発していたり、再発した時には免疫療法と化学療法が治療の中心となります。

前立腺がんとは?

前立腺がんとは尿道を取り巻くような位置にある前立腺に発生する悪性腫瘍です。
前立腺は、男性特有の器官で、前立腺液を分泌します。この液は、精液の一部となり、精子の運動性を高める働きがあるといわれています。
しかし、前立腺が具体的にどのような働きをしているのか、まだよくわかっていません。

前立腺がん

泌尿器科で扱うがんでは、前立腺がんが最も多く発症します。
前立腺がんは欧米ではとても頻度の高いがんです。日本でも、社会の高齢化や食生活の欧米化に伴って、患者の数は増えています。
発がんの要因としては、加齢のほかに、ビタミンAの摂取不足、脂肪分のとり過ぎ、遺伝子の異常などがあげられています。

前立腺がんの症状と経過
前立腺がんは、何年もかかってゆっくりと進行するがんです。
自覚症状は早期のうちはほとんどありません。ある程度進行すると、尿が出にくくなったり、排尿の回数が多くなる(頻尿)、排尿後もすっきりしない(残尿感)、夜中に何度もトイレに起きる(夜間頻尿)などといった症状が現れます。

ただし、こうした症状があるからといって、必ずしもがんとは限りません。
上記の症状の多くは、前立腺肥大症でも起こります。自覚症状だけで前立腺がんと前立腺肥大症を区別することはできません。
がんが進行すると、尿が出なくなったり、血尿や失禁などがみられるようになります、

前立腺肥大症が、がんに進行することはありませんが、前立腺肥大症にがんが併発することはあります。そのため、症状があるときは、泌尿器科を受診して、検査を受けましょう。

行なわれる検査と判定

  • 尿道・膀胱造影検査
  • 前立腺CT検査
  • MRI検査
  • 前立腺超音波検査
  • 尿検査(尿蛋白、尿潜血反応、尿沈査)
  • 血液生化学検査(ACP)
  • 腫瘍マーカー(PSA、γ-セミプロテイン、PAP)
  • 前立腺組織検査
  • 腹部X線検査
  • 直腸内触診

前立腺がんの判定のポイント
血液生化学検査や腫瘍マーカーPSAなどで前立腺のがんが疑われると、尿道・膀胱造影検査や前立腺の超音波検査、CT検査などの画像診断が行なわれます。
さらに直腸内触診で前立腺の大きさや硬さなどを確認すると共に、組織検査を行なって最終的に診断を確定します。

膀胱がんとは?

膀胱がんとは膀胱の粘膜から発生する悪性の腫瘍で、泌尿器の中では最も多いがんです。50歳以上の男性に多く、女性の3倍異常発生しています。
表在がん浸潤がんにわけられます。前者の場合は致命的にはならず、治療によって治癒しますが、再発しやすいというのも特徴です。後者の場合は、他の部位へ転移する確率が高くなります。

膀胱鏡でみる膀胱がんの様子

膀胱がんの症状と経過
膀胱がんの主な症状は血尿です。血尿の色は人によって異なり、淡いピンク色から濃いコーヒー広間でさまざまです。普段の色と明らかに違うので、誰でも気付くことができます。
しかも、血尿の出方に特徴があり、最初は1〜2回、あるいは2〜3日出たかと思うと普通の色の尿に戻り、数ヶ月から時に数年後に再び血尿が出る場合もあります。

しかし、肉眼的には普通の尿の色と同じでも、わずかに血が混じっていること(潜血尿)がしばしばあります。潜血尿が認められても、必ずしも腎臓や膀胱に病気があるとは限りませんが、再検査によって膀胱がんが発見されることもあります。

はっきりとわかるほどの大量の血尿が出た場合は、がんがかなり進行していることが多く、やはり潜血尿の段階で発見されることが望ましいです。
がんが膀胱頚部付近にできると、尿の出口を閉じてしまい、尿が出にくくなることがあります。また、尿管口近くにできると、尿管の流れを止めてしまい、腎臓に尿がたまる水腎症という病気を併発することもあります。

行なわれる検査と判定

  • CT検査
  • MRI検査
  • 下腹部超音波検査
  • 尿検査(尿蛋白、尿潜血反応、尿沈査)
  • 腫瘍マーカー
  • 尿細胞診
  • 膀胱組織検査
  • 腹部X線検査
  • 膀胱鏡検査

膀胱がんの判定のポイント
細い管を膀胱内に挿入して直接観察する膀胱鏡検査がおこなわれます。
尿道から挿入するというと、激痛を想像されるかもしれませんが、尿道口に麻酔薬を塗布しますので、痛みはありません。
また、血尿がある場合、尿中の赤血球や細胞の有無、量などを調べる尿細胞診を併せて行ない、これらの検査の結果を組み合わせて診断します。
さらに、膀胱内に突き出した病巣の一部を採取する組織検査で診断を確定させます。

精巣腫瘍とは?

精巣(睾丸)は、男性の陰嚢内にある生殖器で、男性ホルモンを分泌したり、精子を作る働きをしています。精巣腫瘍にはいくつかの種類がありますが、そのほとんどは精巣の中にある精巣細胞という精子の元になる細胞ががん化して発生します。胚細胞腫とも呼ばれます。

精巣(睾丸)のイラスト

精巣腫瘍は比較的まれな腫瘍です。しかし、20〜30歳代の若い人に最も多く発症するため、社会的に影響の大きいがんといえます。
精巣腫瘍は、組織型の違いによってセミノーマ非セミノーマに大きく分けられます。非セミノーマは、さらに胎児性がん、卵黄嚢腫瘍、絨毛(じゅうもう)がん、奇形腫に分類されます。
精巣腫瘍は、進行がはやく、転移しやすいがんです。脇の下や足の付け根のリンパ節に転移し、そのしこりに触れることで異常に気付く人も少なくありません。また、肺、脳、肝臓、骨といった組織のも転移します。
このように、精巣腫瘍は悪性度の高い腫瘍ですが、早期に発見して治療すればほとんどは治癒できます。

精巣腫瘍の症状と経過
精巣は、左右に1つずつありますが、精巣腫瘍の大部分は、片方だけの精巣に発症します。したがって、精巣に腫瘍ができると、片方の精巣に硬いしこりができて、陰嚢が腫れてきます。見た目に陰嚢が大きくなってきたり、左右の大きさが異なるようになります。また、入浴時など、陰嚢に触れたときに、硬さや凹凸を感じたりする場合も注意が必要です。

精巣腫瘍は、小さい段階では痛みはありませんが、しこりが大きく腫れてくると、痛むこともあります。注意する点としては、陰嚢水腫や精巣上体炎などでも似た症状が見られますので、安易な自己判断は禁物です。必ず泌尿器科で診療を受けましょう。

行なわれる検査と判定

  • 触診
  • 超音波検査
  • MRI検査
  • 腫瘍マーカー(AFP、β-HCG、LDH)
  • 腹部超音波検査(以下の検査では転移病巣を調べます)
  • 胸部X線検査
  • CT検査
  • 骨シンチグラフィー

精巣腫瘍の判定のポイント
精巣腫瘍は、泌尿器科の専門医であれば視診と触診でだいたいの診断はつきます。しかし、確実に診断するためには超音波検査が必要です。超音波検査では、精巣腫瘍にに陰嚢水腫が伴っているような、区別が難しいケースでも、診断できます。
超音波検査で診断が難しいと判断された場合は、MRI検査を行います。また、精巣腫瘍が産生する腫瘍マーカーについても調べます。「AFP」と「β(ベータ)-HCG」の2つは、清掃腫瘍と関係が深く必ず調べます。そのほか「LDH」なども調べます。

これらの検査で精巣腫瘍の診断がついたら、転移病巣の検査が行なわれます。特に、腹部のリンパ節や肺に転移しやすいので、腹部超音波検査胸部X線検査、CT検査は欠かせません。
そのほか必要に応じて、頭部のCT検査や骨シンチグラフィーなどの検査も行なわれます。

精巣腫瘍は、非常に進行が速いため、診断がついたらすぐに入院してできるだけ早く切除手術を行なう必要があります。

乳がんとは?

乳がんとは乳腺に発生する悪性腫瘍です。
最もかかりやすいのは40〜50歳代の女性で、次いで60歳代、30歳代の順となっています。
詳しい原因は不明ですが、食生活の欧米化、動物性脂肪の取りすぎ、初産年齢の上昇、母乳授乳の減少、独身女性の増加などが関係していると考えられています。
近年、日本でも増加の一途をたどっており、女性のがんの第一位となるものと予想されています。

マンモグラフィーでみる乳がんの様子

乳がんの症状と経過
乳房の外側上方にできやすく、初期にはしこりやひきつれができて痛みはありません。
また、乳頭から血液のような、あるいはサラッとした感じの液の分泌が見られる場合もあります。
進行すると、病変部に潰瘍ができ、脇の下や頚部のリンパ節が腫れてきます。

体の内側にある臓器と違い、乳房は体の外側にある柔らかい組織なので、しこりなどの異常に気づきやすいといえるでしょう。
以下に、乳がん自己診断法を挙げましたので、早期発見のため、是非習慣づけてください。

乳がんの自己診断法

  1. 両腕を下げたまま、鏡に乳房を映して、乳房や乳頭の状態をよく観察します。
  2. 両腕を挙げて、乳房を正面、側面、斜めから鏡に映して観察します。
    チェックするポイントは 1)くぼみやひきつれはないか? 2)乳頭がへこんだり、湿疹のようなただれはないか? です。
  3. まず、右の乳房を調べます。仰向けに寝て、右肩の下に薄い枕を敷きます。
    右腕を頭の方に上げ、左手指の腹で乳房の内側を中心に丁寧に触ります。
  4. 次に右腕を自然に下げて、乳房の外側を中心に同じように、左手指の腹で触ります。
    最後に、脇の下に手を入れ、しこりの有無を調べます。左の乳房も3,4と同じように行ないます。
  5. 左右の乳頭を軽くつまみ、血液の混ざった分泌物が出ないかを調べます。

行なわれる検査と判定

  • 血液一般検査
  • 腫瘍マーカー(TPA、CA15-3)
  • マンモグラフィー(乳房X線検査)
  • 乳腺超音波検査
  • 触診
  • 乳房CT検査
  • MRI検査
  • 組織検査

乳がんの判定のポイント
触診やマンモグラフィー(乳房X線検査)、乳腺超音波検査を行なって腫瘍の部位を確認し、最終的には乳房のCT検査やMRI検査の他、乳房を小さく切開して腫瘍の一部を採取する組織検査によって判定します。

子宮がんとは?

子宮がんとは子宮内腔に発生する悪性腫瘍のことです。
膣に近い頚部に発生する子宮頚がんと、その奥の大部に発生する子宮体がんとがあります。
日本人の子宮がんのおよそ80%は子宮頚がんです。子宮頚がんは30歳代から増え始め、40〜50歳代で最も多くなります。膣に近い子宮頚部は、直接触ったり観察したりすることができるため、満30歳以上の女性を対象とした子宮頚がんの集団検診が行なわれています。
それによって、早期に発見できるケースが大変多くなり、子宮頚がんの死亡率は年々低下しています。

子宮頚がんの画像です

子宮体がんの場合は、50歳代が最も多く、とくに閉経後の女性が80%以上を占めます。
都会に住んでいる女性での割合が高く、晩婚化や妊娠回数の減少など、女性のライフスタイルの変化が背景にあると考えられます。

子宮頚がんの症状と経過
子宮頚がんは、ほかのがんと同様、早期にはほとんど症状がありません。
そのため、がんにきづかず、検診を受けてはじめてわかるケースが多いです。
がんが進むと不正性器出血が起こりやすくなります。これは 月経以外の出血のことです。特に、性行為時にがんに接触して出血する事が多く、触診などの診察時にも出血することがあります。
不正性器出血以外では、比較的稀ではありますが、黄色いおりものがでる場合もあります。
がんがかなり進行し、骨盤まで広がると、腰痛が起こることもあります。

子宮体がんの症状と経過
子宮体がんは、早いうちから症状が出ることがあります。
主な症状は、月経と無関係に出血する不正性器出血です。月経以外のときに出血したり、閉経後に少量出血するといった不正性器出血が、ほとんどの患者さんにみられるのが特徴です。
ただし、この症状は子宮体がんだけではなく、頚管ポリープや機能性出血などの良性の病気でも起こりますので、自己判断をせずに産婦人科で検査を受けましょう。

行なわれる検査と判定

  • CT検査
  • 超音波検査
  • 血液一般検査
  • 腫瘍マーカー(CA125ほか)
  • 子宮細胞・組織検査
  • コルポスコープ診

子宮がんの判定のポイント
子宮頚がんの場合は、検診による細胞検診でがんが疑われれば、コルポスコープ診で病変組織の一部を採取して、診断を確定します。

子宮体がんの場合は、まず下腹部超音波検査やCT検査によって腫瘍の部位を確認します。
さらに子宮体腔から子宮内膜の細胞や組織片を採取する細胞検査や組織検査により診断します。

絨毛がんとは?

妊娠すると、子宮内に胎児と母体を結びつける絨毛が形成されますが、この細胞が異常増殖してできるのが絨毛がんです。血流に乗ってがん細胞が転移しやすく、子宮に発生するがんでは最も悪性です。原因はよくわかっていませんが、大部分は妊娠にともなって発症します。

絨毛がん

圧倒的に多いのは、異常妊娠でいわゆるぶどう子といわれる胞状奇体(子宮内で直径0.5mm〜1cmの水泡状の粒が充満し、胎児を吸収してしまう病気)の後に起こるもので、ときに流産や正常分娩後にも起こります。

絨毛がんの症状
主な症状は不正出血です。絨毛がんはたいへん血管に富んだ腫瘍であり、ときに大量出血することがあります。胞状奇体や流産、分娩後に出血が続くときは、絨毛がんを疑う必要があります。
肺に転移すると血痰、咳、胸痛などが現れ、脳に転移すれば頭痛、嘔吐などが起こります。膣野外陰部への転移では、硬いしこりを発見して、これが初期症状ということもあります。

絨毛がんの診断
絨毛がんにると、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)というホルモンが尿中に多量に排泄されますので、まずこのホルモンを測定します。ただし、正常妊娠や流産、子宮外妊娠でもhCGは高値となります。

次に、婦人科的な診察や腹部超音波検査、MRI、CTなどの検査を行なって、子宮やそのほかの腹部臓器への病変の広がりを調べます。絨毛がんは肺への転移が高率にみられるので、胸部単純X線写真を撮影します。肺への転移や神経症状がある場合は、脳への転移の有無を頭部CT、MRIで詳しく調べます。

絨毛がんの治療
絨毛がんには抗がん剤が効果的です。メソトレキセートやアクチノマイシンDなどの抗がん剤により、治療成績は飛躍的に向上し、高い治療効果をあげられるようになりました。その後、必要に応じて子宮の全摘手術を行ないます。
治療後は、先に述べたhCGを測定して、再発の有無をできるだけ早期に診断します。

絨毛がんは、最も治りにくく、致死的ながんの一つとされてきました。
しかし、抗がん剤の有効性やその前がん的な病変である胞状奇胎の管理がよくなったために、罹患率や亡くなる患者さんの数は激減しています(5年生存率は転移のないものは90%)。

卵巣がんとは?

卵巣がんとは卵巣に発生する悪性腫瘍のことです。卵巣がんは近年、日本でも増加傾向にあります。20年ほど前は、その発生率でアメリカの1/3でしたが、現在では2/3となりました。
幼児から老年婦人まであらゆる女性に見られますが、妊娠未経験者や生理不順の人に多いのが特徴です。

超音波検査でみる卵巣がんの様子

かなり進行するまで自覚症状が無く、早期発見の難しいがんの一つです。以前は数が少なかったのですが、検査機器の進歩で最近は多く見つかるようになりました。
近い将来、死亡数で子宮がんを逆転する可能性があると推測されています。

卵巣がんの症状と経過
卵巣は、腹膜の後ろにあるために、卵巣がんは症状が出にくく、早期の段階ではほとんど初期症状はありません。そのため「サイレントキャンサー」とも呼ばれています。
がんがある程度大きくなったり、腹水がたまると、お腹が張ったり、下腹部にしこりを感じたり、尿が近くなったりするなどの症状が出てきます。
しかし、これらの症状に気付いたときにはかなり進行しており、早期発見が難しいのは卵巣がんの怖いところです。

卵巣がんが最も転移しやすいのは、腹部の臓器を覆っている腹膜です。
腹膜への転移は、種を播くように腹腔内にがん細胞が広がっていくことから、腹膜播種と呼ばれています。
さらに進行すると、がんは胸腔内まで広がり、胸膜に転移します。すると胸水がたまって、息切れ、呼吸困難などの呼吸器症状や、食事が喉を通りにくいといった症状が出てきます。

こういった転移による症状のために、呼吸内科や消火器内科を訪れたところ、卵巣がんが発見されるケースも少なくありません。

行なわれる検査と判定

  • CT検査
  • 下腹部超音波検査
  • 血液一般検査
  • 腫瘍マーカー(CA125ほか)
  • 組織検査
  • 触診

卵巣がんの判定のポイント
腫瘍マーカーのCA125が異常値を示し、さらに腹部超音波検査やCT検査による画像診断で腫瘍を確認することによって総合的に判断しますが、最終的には、手術で摘出した腫瘍の組織検査が行なわれ、診断が確定されます。

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