テロメライシンでがん細胞への免疫力も向上

正常な細胞を傷つけず、がん細胞内だけで増殖してがん細胞を壊すとして、実用化が期待されている「テロメライシン」が、がん細胞に対する免疫の働きも高めることが、岡山大病院遺伝子・細胞治療センターの藤原俊義准教授らの研究で分かった。

テロメライシンに感染したがん細胞内の尿酸濃度が通常と比べ4倍以上、一般の抗がん剤の投与時と比べ約2倍に増加し、がん細胞を攻撃する免疫細胞の働きが活性化するのを試験管レベルの実験で確認した。

藤原准教授は「間接的にもがん細胞を殺すことが分かり、より強い働きと転移部分への効果が期待できる」としている。テロメライシンは2002年に岡山大が開発。米国で実用化に向け臨床試験が進んでいる。

テロメライシンの国内臨床研究が計画中

米国での臨床試験入りが決まった腫瘍溶解ウイルス「テロメライシン」(開発コード:OBP-301)について、岡山大学遺伝子・細胞治療センター副センター長の藤原俊義氏が、消化器がんや中皮腫などを対象に臨床研究を行う計画を進めている。テロメライシンを開発するオンコリスバイオファーマ代表取締役社長の浦田泰生氏がこのほど明らかにしたものだ。

テロメライシンは、ヒトアデノウイルス5型のE1領域にテロメラーゼプロモーターを組み込んだ腫瘍殺傷ウイルス製剤。テロメラーゼ活性が高まっているがん細胞の中で特異的に増殖して癌細胞を殺すが、正常細胞中での増殖能力は弱く、細胞毒性を示さないのが大きな特色。

オンコリスバイオファーマは、8月25日、米国食品医薬品局からテロメライシンのフェーズ1臨床試験を開始する許可を獲得したと発表している。フェーズ1試験は、米Mary Crowly Medical Research Centerで各種固形がん患者の中でも既存の治療法では効果が得られず、他に有効な治療の選択肢のない患者を対象に行われる。2006年10月までに開始され、2007年末までに終了する予定。

「テロメライシン」がアメリカで臨床試験へ

オンコリスバイオファーマは、癌細胞だけを狙う打ちして壊死させる新しいウイルス「テロメライシン」の臨床試験を開始すると発表しました。既存の治療では効果がなかったがんの患者さんを対象に米国でフェーズ1に着手、2007年末までに終える計画です。

テロメライシンはヒトアデノウイルスを用いた制限増殖型の腫瘍殺傷ウイルス製剤です。がんと不老長寿にはテロメラーゼという酵素が関与していますが、「テロメライシン」は、ヒトアデノウイルス5型にテロメラーゼプロモーターを組み込んでいるため、テロメラーゼ活性が上昇しているがん細胞で特異的に増殖し、がん細胞だけを壊死させることが特徴です。

マウスでの実験では、移植・増殖したヒト結腸癌細胞がテロメライシンの投与から15日後に壊死したことが確認されています。それら前臨床試験を踏まえ、3月にFDA(日本の厚生労働省に該当)に治験実施のための申請を行い、8月25日に了承が得られました。臨床試験は、がんの患者さんの中でも既存の治療法では効果が得られず、他に有効な治療の選択肢のない患者を対象に行われる予定です。

アメリカで行なわれた治験(世界初)の模様は下のリンク先で紹介しています。内容は2007年1月に放送されたテレビ朝日「たけしの本当は怖い家庭の医学SP」のダイジェストとなっております。

関連記事:テロメライシンの人への治験について

日本で開発中の腫瘍溶解性ウイルスの例

腫瘍溶解性ウイルスとは、正常細胞内では増殖できず、標的とするがん細胞内で特異的に増殖可能な制限増殖型ウイルスのことをいいます。
がん細胞に腫瘍溶解性ウイルスが感染すると、細胞内で増殖して直接的にがん細胞を破壊・死滅させるのみならず、その際に放出された腫瘍溶解性ウイルスは周辺のがん細胞にも新たに感染し、腫瘍全体を縮小させることが期待されています。

なお、天然に存在するウイルス(自然変異株も含む)を投与する臨床研究は、遺伝子治療に関する指針の適用対象外であり、実施前の厚生労働大臣による確認は不要とされています。(国立医薬品食品衛生研究所)

2007年2月現在、動物実験段階

ウイルスの種類 ウイルスの名称 ウイルスの特徴 実施施設/企業名 対象疾患
遺伝子組換え単純ヘルペスウイルス d12.CALP calponin promoter、ΔTK 大阪府立成人病センター 平滑筋肉腫、悪性中皮腫
d12.CALP ΔRR calponin promoter、ΔICP6
hrR3 ΔICP6 愛知県がんセンター 卵巣がん
HR522
G47Δ Δγ1 34.5、ΔICP6、Δα47 東京大学医学部 グリオーマ、前立腺がん
G207 Δγ1 34.5、ΔICP6 慶應義塾大学医学部 脳腫瘍、前立腺がん、膀胱がん
九州大学医学部 胆嚢がん、胆道がん
Synco-2D syncytial phenotype、GALV.fus 和歌山県立医科大学 前立腺がん、腎がん、卵巣がん、乳がん
遺伝子組換えヒトアデノウイルス Telomelysin (OBP-301)
※オンコリス・バイオファーマによる進行性固形がんを対象とした第T相治験が2006年から米国にて実施中(登録予定症例数 =24) 
hTERT promoter 岡山大学医学部/オンコリス・バイオファーマ 大腸がん、非小細胞肺がん、頭頸部がん、子宮頸部がん、膀胱がん、膵がん、胃がん、中皮腫など、がん体外診断
TelomeScan (OBP-401) hTERT promoter+GFP
OBP-404 hTERT promoter+TRAIL
OBP-405 hTERT promoter+RGD
AxE1AdB ΔE1B55K 東北大学医学部 膵臓がん、膀胱がん
AxdAdB-3 ΔE1B55K、ΔE1A
AxE1AdB-UPRT ΔE1B55K、ΔE1A+UPRT
AdSLPI.E1AdB SLPI promoter 非小細胞肺がん
AxdAdB-3 ΔE1B55K、ΔE1A 筑波大学 胆嚢がん、胆道がん
AxE1CAUP ΔE1B55K、ΔE1A+UPRT
AdE3-IAI.3B IAI3B promoter 愛媛大学医学部 卵巣がん
Ad-MK midkine promoter グリオーマ
AdMK midkine promoter 千葉県立がんセンター 肝がん、肝細胞がん
AdCEAp/Rep ΔE1B55K、CEA promoter 札幌医科大学 大腸がん、肝がん
AdAFPep/Rep ΔE1B55K、AFP promoter
  • CD:cytosine deaminase
  • GALV.fus:fusogenic membrane protein
  • GFP:green fluorescence protein
  • hTERT:human telomerase reverse transcriptase
  • ICP6:ribonucleotide reductase large subunit
  • MMP:metaloproteinase
  • SLPI:secretory leukoprotease inhibitor
  • TK:thymidine deaminase
  • TRAIL:TNF-related apoptosis-inducing ligand
  • UPRT:uracil phosphoribosyl transferase
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。