テロメライシンとは?

テロメライシンは岡山大学医学部付属病院、遺伝子・細胞治療センターの藤原俊義先生が開発した全く新しいタイプのがんの治療薬です。風邪の原因になるウィルスの遺伝子を改変したもので、がん細胞の中だけで増えてがん細胞を破壊することが出来ます。

テロメライシン(telomelysin)

正常な細胞は傷つけないので副作用が少ないのが大きな特徴です。
がん患部に直接注射で注入すると、がん細胞の中で一気に増殖(細胞実験では3日で100万倍)。これががん細胞を攻撃し、次々と破壊していくという仕組みなのです。
2006年10月、アメリカのベイラー大学病院・癌センターにあるメアリー・クロウリー治験センターで人への治験(第I相臨床試験)がやっと始まった段階です。しかし、この新薬研究が順調に進み、医薬品としての承認が得られれば、世界中のがん患者さんにとって、まさに夢の最新医療となることでしょう。

初めての方へ
当サイトではテロメライシンをはじめ、がん全般に関する情報をお届けしていますが、難解な専門用語などが随所に出てくる場合がございます。
『テロメライシンがどんなものなのか、短時間で、わかりやすく知りたい!』という皆様にはテロメライシン効果を映像で解説のコーナーがおすすめです。
こちらのコーナーでは、2007年1月にテレビ朝日で放送された医療バラエティ「たけしの本当は怖い家庭の医学SP」での特集を、キャプチャー画像を交えつつ、要点を噛み砕いて解説しております。
細胞実験の段階から、世界で初めて行われた人への治験までをカバーしていますので、この治療薬の概要を理解するにはピッタリだと思っております。

テロメライシンのがん治療への応用

最近の分子生物学の進歩により、がん細胞の悪性形質の発現に重要な分子を標的とした抗がん治療の開発が試みられている。
従来の抗がん剤は、がん組織での効果を上げるためには投与量を増やす必要があり、全身的な副作用が問題となってきた。また放射線治療では、画像的に描出できない微小転移などは治療できない。
がん細胞での選択的増殖能を持つ生物製剤ならば、投与量を低く設定してもがん局所での自律増殖が期待でき、また肉眼的に認知できない微小がんも対象とすることができる。

染色体末端のテロメア長を保つ作用を持つ酵素テロメラーゼは極めて多くのがん細胞でその活性の上昇が知られており、現在、がん治療のターゲットとして最も注目を浴びている分子の一つである。
テロメライシン(Telomelysin、開発コード:OBP-301)は、テロメラーゼ構成成分であるhTERT (human telomerase reverse transcriptase) 遺伝子のプロモーターを用いて作成した腫瘍融解ウイルス(Oncolytic Virus)である。

テロメラーゼは85%以上のヒト癌でその活性の上昇が知られており、テロメライシンは広範な癌細胞で選択的に増殖し、細胞融解を引き起す。腫瘍内に投与された場合、ウイルスは三次元的に腫瘍組織内に拡散し、連鎖的に細胞死を誘導することで広範囲の腫瘍壊死を生じると考えられる。

また、テロメラーゼ活性を持たない正常細胞ではその増殖は制限され、安全性が確保される。このテロメライシンをコア技術として岡山大学発バイオベンチャー オンコリスバイオファーマ(株)を起業し、がんの治療用・診断用医薬品としての臨床開発を推進している。

テロメライシンの臨床応用は、オンコリスバイオファーマから米国食品医薬品局(FDA)への治験申請(IND)の承認のもと、2006年11月よりテキサス州ダラスのMary Crowley Medical Research Centerにて開始された。この第I相臨床試験によりテロメライシンの安全性に関する情報が得られる。

新規ウイルス製剤テロメスキャンのがん診断への応用

テロメライシンはそれ自体を分子標的医薬品としてがん治療に応用できるが、さらに改変を加えることで、生体内でがん組織を可視化するナビゲーション・ツールとしても使用可能である。すなわち、オワンクラゲ由来の蛍光遺伝子GFP (Green Fluorescence Protein)をテロメライシンのE3領域に組み込むことで、診断用ウイルス製剤 テロメスキャン(TelomeScan 、開発コード:OBP-401)を作成した。

テロメスキャンの概要図

生体内でがん組織や転移リンパ節を検出する試みは画像診断の分野で研究が進んでいるが、手術中に直接検出・診断するシステムは未だ開発されていない。
手術の縮小化による低侵襲化を目指す場合にほしい情報の一つに転移リンパ節の有無があり、それを知る方法としてテロメスキャンを活用する。
内視鏡などのアクセスを用いてテロメスキャンを原発腫瘍内に局所投与することでリンパ流を経由するウイルスの所属リンパ節への拡散を促す。
テロメスキャンはリンパ節内の微小転移巣でがん細胞に感染・増殖して選択的にGFP蛍光を発するため、一定期間の後に開胸あるいは開腹にて転移リンパ節を可視化することができる。

テロメスキャンを標識薬剤とし、高感度GFP蛍光検出装置を用いた微小がん組織診断用の外科手術ナビゲーション・システムを確立することにより、微小リンパ節転移を手術中にリアルタイムに検出してリンパ節郭清範囲を同定する低侵襲外科手術が可能となる。

テロメライシンの特徴とは?

テロメライシンとは、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)プロモータをアデノウイルス5型のE1領域に組み込んだ制限増殖型の腫瘍殺傷ウイルスであり、更に同領域にIRES遺伝子を導入することによって複製効率を高めています。

テロメライシンはテロメラーゼ活性が上昇している癌細胞の中で特異的に増殖し、癌細胞を壊死させますが、正常細胞中での増殖能力はごく弱く、細胞毒性を示さないため、癌細胞のみで増殖して癌細胞を壊死させることが特長となっています。

前臨床試験では様々な癌細胞に対して優れた抗腫瘍効果を示し、毒性試験においても問題となるような所見を示しませんでした。臨床では主に癌組織局所への投与となるため、全身性の副作用が大幅に軽減され、患者さんのQOLを向上させることができると期待されています。

オンコリスバイオファーマ株式会社が、2006年10月から各種進行性固形癌を対象として、米国での第T相臨床試験を開始しました。

テロメライシンによる癌治療法は、ウイルス療法と呼ばれ、既存の化学療法や放射線治療を主体とする癌治療とは異なった特長を有する治療法です。

  1. テロメラーゼ活性の高い癌細胞で強い増殖能を示します。
  2. 細胞内で増殖したテロメライシンは癌細胞を破壊します。
  3. 遺伝子治療とは異なり、細胞中に遺伝子を導入しません。
  4. 癌組織局所に作用させることができるため、全身性の副作用の低減が期待されます。
  5. 癌治療中の高いQOLが期待されます。
  6. 周辺リンパ節への転移腫瘍にも感染して効果を発揮することが期待されます。
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