育毛薬「プロペシア」が前立腺がんの腫瘍マーカー(PSA)に影響

抜け毛防止用の内服薬プロペシアによって、前立腺がんのスクリーニングに用いられる前立腺特異抗原(PSA)検査の結果が変化し、疾患の有無が不明確になるという知見が報告された。
米ブリガム・アンド・ウィメンズ病院(BWH、ボストン)のアンソニー・アミコ博士らによるこの報告は、英医学誌「Lancet Oncology」オンライン版に掲載されたもので、同博士は、プロペシアを使用している男性は、このことを知っておくべきだと述べている。

男性は主に40―50代から定期的にPSA検査を受け始める。PSA値は通常は低いが、前立腺がんまたは良性の症状によって上昇する。
プロペシアの有効成分はフィナステリドという薬剤で、元来は前立腺肥大症の治療のために開発されたもの。その後、抜け毛治療に使用されるようになり、米国では現在、約100万人が抜け毛を食い止めるためにこの薬剤を使用している。

2003年に発表された大規模研究では、前立腺肥大症治療を目的とするフィナステリド製剤プロスカー(日本国内未承認)に、前立腺癌の減少との関連がみられることがわかった。
アミコ博士によると、プロスカーによってPSA値が変化することもここ数年知られていたが、プロペシアのフィナステリド含有量はプロスカーの5分の1であるため、プロペシアに同じ作用があるかどうかはわかっていなかった。

今回の研究では、男性型脱毛症の40〜60歳の男性355人にプロペシアまたはプラセボ(偽薬)のいずれかを投与し、PSA値の変化を調べた。
48週間後、プロペシア服用群では、PSA値が40〜49歳で40%、50〜60歳では50%減少した。
一方、プラセボ群ではPSA値に平均13%の増大がみられたという。

この知見から、長期間プロペシアを使用している男性については、プロスカーの場合と同じようにPSA値の読み方を調整する必要があるという。測定値を2倍するという方法もあるが、完全とはいえない。毎年のPSA値に注目し、数値が0.3上昇した場合は、生検を検討する必要があるという。
なお、プロペシアによってPSA値が変化する理由については、前立腺に作用するテストステロンが阻害されることによるものだと説明している。

プロペシアについて
飲む育毛剤プロペシア錠(一般名フィナステリド)は、1997年にFDA(米食品医薬品局)によって認可された「医薬品」で、現在、世界60カ国以上で承認・販売されてます。
日本でも2005年12月に万有製薬から発売になり、AGA(男性型脱毛症)に悩む患者さんに処方されています。
国内で販売されているプロペシア錠は処方薬であるため、一般の薬局やドラッグストアなどでは市販されておらず、手に入れるためには医療機関で、医師の診察を受ける必要があります。