甲状腺は、喉仏(のどぼとけ)の下にある臓器で、甲状腺ホルモンを分泌しています。
甲状腺がんの患者数は意外と多く、1000人に1人の割合で発症します。
女性が圧倒的に多く、男性の約5倍にもなります。
甲状腺にできるがんには乳頭がん、濾胞がん、未分化がん、髄様がんの4つのタイプがあり、それぞれ性質が異なります。
乳頭がんは、甲状腺がんの90%を占めており、40〜50歳代と、比較的若い人に多く発症します。進行はゆっくりで離れた臓器に転移することは稀ながんです。しかし、甲状腺内で多発したり、その場所で大きくなる性質があるため、食道や気管まで広がったり、周辺のリンパ節に転移することはあります。
濾胞がんは、乳頭がんに次いで多く、40〜50歳代に多く見られます。性質はおだやかですが、肺や骨に転移しやすいのが特徴です。乳頭がんも濾胞がんも、高齢で発症するほど、悪性度が高くなる傾向があります。
未分化がんの多くは、乳頭がんや濾胞がんの性質が、長年の間に変化したものと考えられています。甲状腺がん全体で見ると非常に少ないですが、進行が速いのが特徴です。
髄様がんはカルシトニンという、カルシウムの代謝に関わるホルモンを分泌する傍濾胞細胞(C細胞)ががん化して起こります。髄様がんの30%程度が遺伝的体質によるもので、その場合には副甲状腺腫瘍や副腎の褐色細胞腫を合併したりします。
甲状腺がんの症状と経過
甲状腺がんは、初期にはほとんど症状はありません。がんが大きくなると、声帯運動をつかさどる反回神経を障害しやすく、声がかれることがあります。
気道や食道にまでがんが入り込むと、血痰や呼吸困難なども現れます。また、喉に硬いしこりを感じたり、首のリンパ節の腫れで異常に気付く人もいます。
未分化がんの場合、進行すると熱が出たり、痛みが生じることもあります。
なお、甲状腺にがんがあっても、甲状腺ホルモンの分泌異状による症状が現れることは通常ありません。
行なわれる検査と判定
- 触診
- 甲状腺超音波検査
- 穿刺細胞診
- X線検査
- CT検査
- MRI検査
- シンチグラフィー
- 腫瘍マーカー(CEA 髄様がんの場合のみ)
甲状腺がんの判定のポイント
触診で、腫瘍の有無や形、数などがある程度わかります。しかし、触診だけでは、がんと良性腫瘍の区別が十分につきませんので、超音波検査が必要となります。
超音波検査は甲状腺がんを調べる際には欠かせない検査で、腫瘍の性状もわかるので、がんかどうかのおおよそ目安がつきます。また大きさが3mm程度の微小がんも見つけることができます。
最終的な診断は穿刺細胞診によって確定します。小さな腫瘤では、超音波で針と腫瘍の位置を確認しながら、甲状腺に直接針を刺して組織を採取し、顕微鏡で調べます。外来診療ででき、麻酔も不必要な簡単な検査で、がんのタイプまで判断できます。
腫瘍が大きかったり、未分化がんの場合は、X線検査やCT検査、MRI検査、シンチグラフィーなどで、がんの広がりや転移の有無について、調べる場合もあります。
