滑膜肉腫の治療に新手法:肉腫特有のたんぱく質を狙い撃ち

若い人の手足にできる悪性腫瘍の一種、滑膜肉腫の治療に、この肉腫に特徴的なたんぱく質を狙う手法が有効なことを東大医科学研究所や群馬大、京大などのチームが実験で確かめた。
患者の肉腫を移植した11匹のマウスに、チームが作った物質を注射すると肉腫が10分の1程度に縮小。消えたものもあった。目立った副作用はなかったが、さらに安全性を確かめて臨床試験に進む考えだ。

東大医科研ヒトゲノム解析センターの片桐豊雅・助教授らが遺伝子レベルで分析すると、この肉腫の特徴としてFZD10というたんぱく質ができることがわかった。正常な組織や臓器では、胎盤に多少みられた以外、ほとんどなかった。

これを標的にすれば、正常臓器に影響を及ぼさない、新たな治療法につながると考え、このたんぱく質だけにくっつく物質(抗体)を作り、他のがん治療に使われている放射性物質をとりつけた。

この抗体を群馬大の遠藤啓吾教授らのグループが患者の肉腫を移植したマウス11匹に注射。16日目にすべてで腫瘍が10分の1程度に。ひと月後に7匹でやや大きくなる傾向がみえたが、4匹は小さいまま。うち2匹ではふた月後にほぼ消えた。抗体の一部を組み換えると、免疫力が上がって肉腫をやっつけるようになることも確かめた。

このたんぱく質は大腸がんでも約3割にみられることも判明。大腸がんの新治療法につながる可能性もあるという。(asahi.com)

滑膜(かつまく)肉腫とは?
滑膜肉腫は手や足、または膝などの関節の近くに発生し、痛みを伴ったり、腫瘍の内部に石灰化が起きることもある特徴的な腫瘍です。
悪性腫瘍でありながら何年も大きさが変化せず、転移も生じなかった例もあります。手術が治療の中心になりますが、主に神経や血管、腱のあたりにできるので一緒にとらなければならず、機能や感覚に障害が残ることがあります。