遺伝子の働き抑え薬効回復:耐性がん治療に新手法

抗がん剤が効かなくなる耐性をがん細胞に持たせる遺伝子の1つを国立がんセンター研究所のグループが特定、この遺伝子の働きを抑え抗がん剤の効き目を回復させることで、マウスに移植した人の乳がん組織を大幅に縮小させる実験に成功した。

乳がん患者の半分は、初めから抗がん剤が効かなかったり治療を続けるうちに効かなくなって再発したりするケースとされ、薬剤耐性の克服は大きな課題となっている。
今回の手法は、薬剤耐性がんの新たな治療法につながると期待される。

同研究所の落谷孝広がん転移研究室長らは「RPN2」と呼ばれる遺伝子が、がん細胞の内部から外部へポンプのように抗がん剤をくみ出すタンパク質の働きを調節していることを発見した。

RNAの断片を細胞に入れ遺伝子の働きを抑えるRNA干渉という手法を用い、マウスに移植した薬剤耐性乳がんでRPN2が働かないようにしたところ、抗がん剤が劇的に効くようになり、直径5ミリあったがんが7日間で1ミリ以下に縮小した。
RNA断片はコラーゲンの一種と絡ませ微小粒子にして細胞に入れた。

肺がん細胞でも同様の効果が確認され、落谷室長は「人での安全性を確かめた上で、さまざまながんで治療法の確立を目指したい。抗がん剤の投与量を減らし副作用を軽減する効果も期待でき、患者によっては外科手術が不要になる場合もありそうだ」と話している。

研究は大阪府立成人病センター研究所と医療機器メーカーの高研(東京)と共同で行われた。(中日新聞)