神戸大病院は、末期の肝臓がん患者に対し、外科手術と化学療法を組み合わせた独自の「二段階治療」に成功した、と発表した。
一時は余命数カ月と診断された患者は、日常生活ができるまでに回復。執刀した肝臓・移植外科の具英成教授は「世界でも成功例のない難しい治療」としている。
患者は五十二歳の米国人男性。六月に肝臓がんと診断されたが、ハーバード大病院で「米国に治療できる病院はない」といわれ、神戸大病院に望みをかけた。
同病院の治療は、大きながんのある部位を切除した上で、残りの肝臓に集中的な化学療法を行う「二段階治療」。化学療法では、抗がん剤をカテーテルで肝臓に注入した後、肝静脈から血液を抜き取り、余分な抗がん剤を除去して全身に戻す独自の技術を確立。通常の約十倍の抗がん剤が肝臓に注入できるという。
男性の腫瘍(しゅよう)は、肝臓の広範囲に広がり、肝臓に栄養分を運ぶ門脈の奥の方までふさいでいた。
手術は七月四日に行い、肝臓の七割強や、門脈の腫瘍を取り除いた。同三十日には化学療法を実施。予後は良好で、男性は九月にも米国に帰国する予定という。
同大では一九九二年以降、肝臓がん患者に対し、二段階治療を四十二例行い、一年生存率は77%。具教授は「他の病院なら手術をあきらめるケース。これまででも一番ハードな手術だった」と振り返った。
