たんぱく質「クリム197」が卵巣がんの治療に効果

福岡大医学部の宮本新吾講師(産婦人科学)と大阪大微生物病研究所の目加田英輔教授(細胞生物学)が、ジフテリア菌に由来する特異なたんぱく質「クリム197」が、卵巣がんの治療に有効なことを動物実験で確認した。今後、大型動物での実験を経て、ヒトを対象にした治験に乗り出す。

卵巣がんは早期発見が難しく、致死率も高いだけに、クリム197を使った新たな治療薬の開発が期待されている。

宮本講師らによると、クリム197は、発熱やのどの痛みなどを発症するジフテリア菌が分泌する毒素の変異体。毒性を発揮する部位が変異しているため、毒性はないが、卵巣がんの増殖を阻害する機能を持っており、この機能に着目した研究を続けている。

実験に使用したのは、体毛がなく、免疫を持たない「ヌードマウス」。3人の卵巣がん患者の腫瘍(しゅよう)から採取し、培養した細胞を計60匹に植え付け、卵巣がんのマウスを作り出した。その上で、クリム197を投与し、有効性を調べた。

その結果、投与しなかったマウス計30匹の腫瘍は、10週目で平均して10倍以上に大きくなった。これに対し、投与した計30匹は4週目から6週目でほぼなくなり、顕著な効果が確認された。

宮本講師らの研究は、文部科学省の「がんトランスレーショナルリサーチ事業」(基礎研究から臨床開発の初期段階への橋渡し研究)に選ばれており、今後、安全性や有効性を確認する研究を進める。

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