子宮頸がんの治療で、腹腔鏡を使った手術で子宮を温存し、妊娠、出産させることに倉敷成人病センター(岡山県)の安藤正明産婦人科部長のグループが国内で初めて成功した。
子宮頸がんは近年、若い女性に増えており、出産を望む若い子宮がん患者の選択肢の一つとして注目されそうだ。
子宮がんには、入り口部分(頸部)にできる子宮頸がんと、奥の袋状の部分(体部)にできる子宮体がんがある。子宮頸がんは、ごく早期に発見されれば、がんの部分だけを切り取る手術で済むが、進行すると子宮やその周囲を広く摘出しなければならない。
今回行われた「広汎子宮頸部摘出術」は、やや進行した患者を対象に、子宮頸部と周囲の組織だけを切り取り、子宮体部を残す方法。数年前から国内数か所の大学病院で開腹手術によって試みられている。
安藤さんらは、この治療を開腹ではなく、腹腔鏡手術で実施。おなかに5〜10ミリの穴を5か所開け、小型カメラを入れて見ながら、がんを切除した。患者はその後、妊娠し、今春、妊娠34週で約1900グラムの健康な女児を出産した。
広汎子宮頸部摘出術とは?
子宮頸部と膣(ちつ)の一部、周囲のリンパ節と子宮をおなかの中で支える組織(基靭帯)を切り取り、残した子宮体部を膣につなぐ方法。
この治療は、がんがやや進行した1a2期から1b1期までが対象になる。ただし、がんが2センチ以上か、「腺がん」というタイプの場合は転移の危険が高く、この治療を受けられるとは限らない。周囲のリンパ節へ転移がある場合も子宮を摘出する。
この新手術は欧米で約15年前に始まり、既に100人近くの赤ちゃんが誕生している。ただ、妊娠しても早産しやすい傾向があり、子宮の入り口を縛り直す緊急手術を行う場合もある。
欧米データでは、がんの再発率は子宮全摘手術と変わらないが、安全性が確立しているとは言えず、妊娠中も画像診断などで再発していないかチェックが欠かせない。
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