岐阜大学大学院医学系研究科の藤田広志教授(知能イメージ情報学)らの研究グループは、超音波で撮影した女性の乳房の画像をコンピューターで分析し、乳がんの恐れのある部位を矢印で示して医師を補助する「コンピューター支援診断システム」を開発した。
乳がん検診は現在、主にマンモグラフィー(エックス線画像検査)と医師による視触診で行われているが、コンピューターによる超音波画像診断を加えることで、乳がんを見落とす確率が大幅に減ると期待されている。
マンモグラフィーだと、がんも乳腺組織も白く写ることから、乳腺密度が高い女性は、がんが見えにくい。
日本の女性が乳がんを患うピークは40歳代だが、一般的に40歳代は乳腺密度が高く、小さながんを完全に見つけることは、ベテラン医師でも難しいとされる。
藤田教授らは、超音波で乳房を撮影すると、がんの部位に卵形の黒い影が写ることに着目。事前に、乳がん患者や乳房にしこりがあるなど乳がんの恐れがある人計109人のデータをコンピューターに登録・学習させ、正常部位とがん細胞に侵された部位を、自動的に区別できるようにした。
そのうえで、超音波で乳房を撮影し、3次元の立体画像をコンピューターで解析。がんの疑いがある部位を見つけると、コンピューターの画面上に、矢印などで医師に提示できるようにした。
研究グループでは、がんの疑いのある16人を対象に、コンピューターによる超音波画像診断を実施した結果、14人のがんの部位を的確に特定し、9割近い確率で正確な診断結果を得ることができた。
乳がんや乳腺の超音波診断に詳しい栃木県保健衛生事業団の森久保寛・医療部長は、「超音波画像を使ったコンピューター支援診断は、乳がん検出の確率がマンモグラフィーや視触診に比べ格段に高く、先駆的な取り組みだ。精度を高め、現場で活用できるようにしてほしい」と話している。
