早期の乳がんを対象とした温存療法で放射線治療をする際、日本乳癌学会が定めた照射方法の指針を満たしていない例が全体の4割にのぼることが、厚生労働省研究班の調査で分かった。
がんが残っているかもしれない場所に十分あてていなかった例が目立ち、再発につながる恐れもある。
乳房温存療法はがんを手術で取り除いたあと、乳房に放射線をあてるのが原則。がん細胞をたたき、再発を防ぐのが目的だ。あてる範囲が広すぎると、肺や心臓などに問題が起こる危険があるため、同学会は照射すべき範囲などを定めた医師向けの指針をつくり、98年に発表した。
研究班は、全国72施設をメンバーが訪問して調べた。99〜01年に温存療法を受けた531例の治療記録を分析した結果、学会指針を満たさない例が226例(42.6%)あった。
呼吸の影響で胸が動くことを十分考慮しないなどして、照射する範囲が不足している例が多かったという。
調査をまとめた京都大放射線治療科の山内助手は「体形には個人差があるので、指針を満たさないからといって直ちに不適切とは言えない。ただ、指針が医師の間に十分に伝わっていないことを痛感した」としている。
乳房温存療法とは?
がんができた乳腺の部分切除と脇の下のリンパ節を摘出する手術の後に、残した乳房に放射線をあてる治療方法です。
このことにより、乳房を残して乳がんを治療することが可能です。また、放射線をあてないで手術のみで治療が終了するケースもあります。
乳房温存療法の根底にあるのは
- 乳腺内の目で見える、手で触れる病巣だけを乳房温存手術で切り取る
- 詳細な病理検査で大きな取り残しのないことを確かめる
- 細胞レベルで取り残した可能性のある病巣は放射線治療で根絶する
- 乳房以外に存在しているかも知れない微小転移巣は化学療法・ホルモン療法で根絶する
という考え方です。
