テロメライシン:人への治験(後編)

前回のテロメライシン:人への治験(前編)では、世界で初めてテロメライシンの投与を受けたビバリー・ブリッジス(57)さんを紹介しました。週に一回のペースで続けられている精密検査でどのような変化が確認されたのか、見ていきたいと思います。

治験担当:ネムナイティス医師

今回の治験を担当したのはメアリー・クロウリー治験センターのジョン・ネムナイティス医師です。人への投与は初めてということで、最優先したのはビバリーさんの安全。そのためテロメライシンの投与量は必要十分な量の100分の1にしたとのこと。
ネムナイティス先生は「この量でも彼女の癌の成長を止められると信じている。」と語っておられました。

検査結果

そして一週間後、検査結果のレポートを手にネムナイティス先生。「結果はうれしい驚きでした。1ヶ月前に撮影したものと癌の大きさが変わっていなかったのです。」これはがんの成長が止まったということです。

投与前後のCT

彼女胸部CT画像で赤と青の円内の部分(ここががんです)見比べてみると、若干の違いはあれども、大きさが変わっていないのがわかります。今まで、ほかの抗がん剤を寄せ付けずに成長を続けてきたがん細胞が進行を止めたのです。さらに…

検査結果レポート

検査結果のレポートには「がん細胞の割合が90%から50〜60%にまで減少していた」とあります。これはビバリーさんのがん細胞の成長が止まっただけではなく、大幅ながん細胞の減少も見られたことを意味しています。繰り返しになりますが、今回投与されたのは必要十分量の100分の1の量に過ぎません。

検査結果を語る

ネムナイティス医師「まだ最終的な結論は出ていませんが、今回の結果には満足しています。それはがん細胞の中で何かが起きているからです。テロメライシンの治験はまだ始まったばかりの段階です。私が本当に満足するのはウイルスが完全に作用し、患者の生存がかなったときでしょう。」(了)

テロメライシンが一般患者に医薬品として投与される日はいつになるか?ということが気になってくるのですが、認可の流れとしては
基礎研究(2〜3年)→非臨床試験(3〜5年)→第I相臨床試験(アメリカは現在、この段階)→第II相臨床試験→第III相臨床試験(臨床試験で3〜5年)→承認審査(2〜3年)となっています。

今回キャプチャーで見ていきましたテレビ朝日「たけしの本当は怖い過程の医学SP」では「がんを注射で治療する日まで後何十年・・・?」というサブタイトルが付けられていましたが、このまま試験が進んだ場合、何十年というのは大げさだと思います(最短で2012年に実用化のスケジュール)。
もちろん、重大な副作用など、なんらかの問題が見つかり、現代医学での解決が難しいと判断された場合は、医薬品として使われる機会そのものが失われてしまいますが…

また近年では、テロメライシンと同様の作用を持つ"単純ヘルペスウイルスHF10"などの研究もすすめられています。今後数年内に患者さんに大きな希望をもたらす進歩がなされることを願ってやみません。

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